「末恐ろしい」の意味とは?
「末恐ろしい」(すえおそろしい)とは、現在の物事や人物の状態から考えて、将来どのようになるのか恐ろしい、または、気にかかるということを表しています。
「末」は、行く末、つまり、将来や未来のことで、「恐ろしい」とは、恐怖を感じること以外に、驚くべきこと、程度が普通ではなく度を超えていることを意味しています。
「末恐ろしい」の使い方と例文
「末恐ろしい」は、対象となる人物や物事について上記のような恐ろしさを感じていることから、基本的にはネガティブな意味で使われますが、ポジティブな意味で使われることもあります。それでは、「ポジティブ」「ネガティブ」と、それぞれ別に見ていきます。
ネガティブな意味で使う
「末恐ろしい」をネガティブな意味で使うのは、かなり将来を悲観している気持ちが強い場合です。現在よりも状況が悪くなっている時、物事の好ましい状態が期待できない時、また、その人の行いや心持ちが悪い方向に向かって行くのを危惧している時に使います。
【例文】
ポジティブな意味で使う
「末恐ろしい」をポジティブな意味で使う場合、対象となる人物に期待している気持ちを込める、褒めるような意味で使うこともしばしばです。国や社会、企業など、大小様々な団体を背負って立つであろうと目される人材を表す場合もあります。
現在の人となりや、能力を目の当たりにして、将来驚くべき結果を残せるのではないか、尋常ではないくらいの能力を発揮できるのではないかと、未来を有望視しているのがうかがえますね。
【例文】
- 彼は、将来の日本を背負って立つ末恐ろしい人物です。まだまだ能力を秘めていますよ!
- コンクールの賞を総ナメにするなんて、彼女は末恐ろしいですね。
- 今年の新入社員は、底力があり、有能で末恐ろしい人が大勢いるね。
- 久々に伝統芸能の世界で、末恐ろしい才能の持ち主と言われるような人が出てきたな。
「末恐ろしい」の類語:ネガティブな意味
悲観的
「悲観的」(ひかんてき)とは、ある物事、人物などについて、この先あまり良くならないと行く末を悪く考えること、もしくは、後ろ向きな考えをする様子を言います。
【例文】
- 自分の子供について将来を悲観的に考えるのは良くないよ。
- 彼女を取り巻く現状は悪く、この環境がずっと続くのではないかと悲観的になっている。
先が思いやられる
「先が思いやられる」という言い回しは、人や物事などについてこれから先の状況が悪くなっていくようで心配になっている、もしくは、不安を感じているさまを言います。
【例文】
- Aくんは大人になっても身の回りのことが何1つできないので、先が思いやられるよ。
- 自治会への加入を断る人が増えて、万が一の時に互いに助け合えるか、先が思いやられる。
「末恐ろしい」の類語:ポジティブな意味
末頼もしい
「末頼もしい」(すえたのもしい)とは、行く末に期待ができそうで楽しみだという意味です。人に使う場面が多いです。この場合の「頼もしい」は、期待ができて心強い、楽しみであるということです。
前後の文脈で誤解を招きにくいため、ポジティブな意味の「末恐ろしい」を使わずに、「末頼もしい」と表現する人もいます。
【例文】
- 親の欲目かもしれないが、うちの子は末頼もしいと近所で評判だよ。
- うちの担当者さんは、一生懸命で末頼もしい青年だ。出世していくだろうね。
嘱望
「嘱望」(しょくぼう)とは、人の将来について望みをかけること、期待を寄せることです。「嘱」には、まかせる、ゆだねるなどの意味もありますが、ここでは目をかける、よせることを表しています。
ポジティブな意味で使う「末恐ろしい」と同じような表現をするなら、人から行く末について期待を寄せられる「将来を嘱望される」という言い回しがあります。
【例文】
- 彼は将来を嘱望される営業部の新人社員だ。
- 彼女は将来を嘱望されて店舗の責任者になり、多くの人の期待を裏切らない成果を出している。