「懐疑的」とは?
「懐疑的」(かいぎてき)とは、物事の意味や概念、価値、もしくは自他の存在や見解などに対して疑問をもっているように見受けられること、そのような疑いをもっているさま、を意味する言葉です。
この言葉の根底をなす「懐疑」は、哲学の領域などにおける専門的用語としても使われますが、ここでは一般的な意味に絞って紹介します。
「懐疑」の意味は、物事に疑いを抱くことです。また、物事の真偽を決定する十分な根拠がないために、判断、断定を差し控えている心情も表現します。
「懐疑的」は、この「懐疑」の後ろに~の性質をもつ、~の状態をなす、などの意を表す接尾辞「的」がつくことで、さまざまなことに疑いをもつ様子や状態を表しています。
「懐疑的」の使い方
「懐疑的」は、「~に懐疑的だ」という形容動詞の形で頻繁に使われます。この言い回しは、対象に否定的な気持ちを持っていることを表現しています。
また、形容詞として使う場合の例としては「懐疑的な見方」「懐疑的な立場」「懐疑的な姿勢」「懐疑的な意見」などがあります。
「懐疑的」は一見、物事への否定的ニュアンスが強い言葉ですが、文脈によっては、安直に物事を判断しない中立的かつ慎重な態度、というポジティブなニュアンスをもつこともあります。前後の文脈によって「懐疑的」の意味合いが変わる例をみてみましょう。
「懐疑的」のニュアンスが変わる例
【例文】彼はどのようなことに対しても、懐疑的な発言をする。
この文章からは、とにかく疑ってかかる性格、というネガティブなニュアンスを感じる人もいるでしょう。では、次の文章はどうでしょうか。
【例文】意見が二分される中、彼は双方の主張を懐疑的に分析していた。
こちらでは、どちらかが正しいはずという前提すらも疑うことで、慎重な判断を目指す中立的で望ましい態度、と捉えることもできそうですね。
このように「懐疑的」は文脈によっては否定的な意味で使われないこともあります。とはいえ、「疑」の字はあまりよい印象を抱かれない場合があるため、ポジティブな意味であれば、「慎重に」「用心深く」などに言い換える方がベターです。(類語もご参照ください)
「懐疑的」の例文
- この組織が社会的ありかたとして正しいかと問われれば、私は懐疑的だ。
- A子さんは子供の早期教育には懐疑的な立場で、まずは十分に遊ばせるべきだと述べている。
- 自信をもって提出した企画だったが、役員たちから懐疑的な意見が相次ぎ、不採用となった。
- B氏はなにごとにも中立的で懐疑的思考のできる人物だ。
「懐疑的」の類語
「疑い深い」「疑り深い」
「疑い深い」(うたがいぶかい)もしくは「疑り深い」(うたぐりぶかい)は同じ意味で、疑う気持ちが強い、容易には信用しないさまを表します。
「懐疑的」にくらべて、たんに性格として物事を疑ってかかることが多いという、ネガティブな要素が強めの言葉です。疑い深いことによって物事への対処が慎重になる利点はあるかもしれませんが、人の性格としてよい評価にはなりがたいでしょう。
【例文】A子さんの恋人は疑い深い性格で、なにかにつけて彼女の行動をいぶかり、束縛する。
「用心深い」
「用心深い」(ようじんぶかい)とは、よく注意し気を配り危険をおかさない、警戒心が強い、という意味の言い回しです。
物事への疑いや警戒だけではなく、自身についても注意を払うなど、さまざまなことを対象として慎重に対応する性質の傾向を表します。「懐疑的」や「疑い深い」と比べると、「用心深い」は、ポジティブなニュアンスがこもる言葉です。
【例文】幼い娘を友人に預けて弟の結婚式に参加するが、友人は用心深い人なので安心して子供を託せる。