「ミスリード」の意味とは?
「ミスリード」(英語:mislead)の意味は以下の通りです。
- (人の判断などを)間違った方向に導く
- 見出しと記事の内容が違う
「ミスリード」の使い方と例文
「ミスリード」にはいくつか使い方がありますので、いくつかのシーンや状況ごとに使い方を見ていきましょう。
1.間違った方向に導く:ニュースや時事問題
「ミスリード」という言葉は、主に情報を伝える側が自分の都合の良いように物事について伝えて、受け手の判断を誤らせる時に使います。
例えば、ニュースや時事問題などでは、良い面や悪い面を公平に伝えるのではなく、発信元の事情に応じてどちらかを大げさに表現し、強く印象づけることがあります。
【例文】
- ニュースを読み解く場合、新聞社やテレビ局の方針によって世論をミスリードする可能性があるので、様々な情報を見比べることが大切だと学校で習った。
- このような書き方だと、上手く伝わらずミスリードを招く場合がある。要点を絞った方がいいよ。
2.間違った方向に導く:話の誘導
文学や映像、漫画などの作品では、話の展開を面白くするために「ミスリード」が仕掛けられていることもしばしばです。
登場人物や背景など、物語の前半や中盤部分で読者や視聴者が展開などを読み誤るように仕向けておき、終盤でその予想を裏切り、いわゆる話を「どんでん返し」するのが「ミスリード」の基本的な意図です。
特に「ミスリード」がよく見られるのは、推理モノ・ミステリーなどのジャンルです。犯罪の仕掛けを隠す、犯人を絞らせないなどのように、話の構成上、読者や視聴者の目を欺かなくてはいけないからです。
【例文】
- カーター・ディクスンの『読者よ欺かるるなかれ』は、呪術による殺人という印象がミスリードを誘い、犯人や殺人の動機が見えにくくなっている。
- アガサ・クリスティの『アクロイド殺し』はミスリードを誘発するというよりも、読者に犯人に関する情報を提示しない部分があり「公平さを欠く」という意見もある。
3.見出しと記事の内容が違う
雑誌や新聞、広告などについて、見出しと記事の内容が違う、見出しが大げさで大した内容が書かれていないなどの場合に、読者や視聴者を欺く意味で「ミスリード」ということもあります。
特に、ネットの記事や広告では、読者の目を引くために、わざと大げさな見出しを使う場合があります。
多くの読者は、見出しを見てその内容を見ようか見まいか判断します。提供側は、記事をクリックして見るたびに表示される広告で収益を上げられるため、あえて目を引くような見出しで読者を釣る傾向があるようです。
【例文】
- 「アイドル〇〇が不倫?」という見出しにミスリードされた。〇〇ちゃんが不倫する役で出演するドラマの宣伝記事だったよ。
- ネットの商品広告の見出しに「90%以上の人が効果を感じて満足!」とあったけど、内容に根拠がなくてミスリードのような気がする。
「ミスリード」の類語
欺く
「欺く」(あざむ-く)には様々な意味があり、中でも「上手く相手を言いくるめて、真実のように思わせる・だます」ことを表すのが「ミスリード」の1や3の使い方と似ています。
【例文】
- 相手を欺くために、虚偽の情報を広めて信じ込ませた。
- 「敵を欺くにはまず味方から」というので、信頼している人にも胸の内を話さぬようにして計画を成功させた。
情報操作
「情報操作」(じょうほうそうさ)とは、人に提供する情報(記事や証言、映像などの記録など)を意図的に制限したり、目的を持って改変したりすることです。
国などによっては、人や大衆の意見や考え方をある一定の方向に導くために情報操作が行われることもあります。「ミスリード」の1の使い方とよく似ています。
【例文】
- ある国では体制に都合の悪い報道が海外でなされると、情報操作をすることもあると聞く。
- 情報操作された記事だと、A氏は全く問題がなく、相手が悪いといったように取れるな。
叙述トリック
「叙述(じょじゅつ)トリック」とは、推理小説で使われる手法の1つで、「ミスリード」の使い方2と似ています。「叙述」は物事について順を追って述べること、「トリック」(英語:trick)は仕掛けや相手をだますための企みのことです。
推理小説では、登場人物の人となりや、場所や時系列について、あくまでもありのままに、そして順番に記しているように見せています。
しかし、話の筋の重要な箇所や情報などを上手くぼかして、読者をだますように仕向けています。この「だます仕掛け」のことを「叙述トリック」といいます。
【例文】
- 『十角館の殺人』の叙述トリックは見事だ。しかし、犯人がバレてしまうから、映像化は難しいだろうな。
- 話の筋は面白くても、隠された部分が不自然に感じられる叙述トリックだと、ミステリーファンとしてはがっかりする。