「ロートル」とは
「ロートル」とは、老人のことを意味します。語源は、老人や年寄りを意味する中国語の「老頭児(lǎo-tóur)」です。「老頭児」の発音は「ラオトウ」が原語に近く、「ロートル」と発音しても中国人には通じないようです。
「老頭児」は、「おじいさん」といった感じで親しみの気持ちを込めて使われる中国語ですが、「ロートル」は、頭が老いた年寄りという侮蔑のニュアンスを持って使われていました。
なお、「じじい」といったニュアンスで使われることがある中国語には、「老頭子(lǎotóu-zi)」があります。
「ロートル」の使い方
「ロートル」は、年配の人が自分のことを自嘲気味に言う言葉として使うことが多かったようですが、他人に対しても使われていました。昭和40年代ごろまでは一般的に使われていましたが、いつしか死語になっていったようです。
しかし、日本のスポーツ界では、その後も、年齢が高くなって体力的には若手に及ばないようになっても現役にこだわっているベテラン選手に対して、戦力にならない、チームの足を引っ張るというような否定的なニュアンスで使われていました。
また、競馬では、8歳以上の馬をロートル馬と呼んだりもしていますし、最近では、PCユーザーの間で何世代も前の旧式パソコンなどに対してロートルマシンと言うこともあります。
例文
- 僕は、定年前のロートルだから、君たち若者がしっかり頑張ってくれ。
- うちの会社では40歳過ぎるとロートル扱いになり、閑職への異動か退職を勧告されるそうだ。
- 今の時代、電卓とワープロしか使えないようなロートル役員の出る幕はない。
- A選手は現役30年のロートルですが、いぶし銀のような技術があり、まだまだ第一線で戦えますね。
- 父は、新車から20年以上この車を愛用している。まわりからこんなロートル車はやめて燃費のいい車に買い替えろと言われても耳を貸さない。
「ロートル」の類語
「老いぼれ」
「老いぼれ(おいぼれ)」は、老いぼれること(年を取って頭や体の機能が衰えること)、または、老いぼれた人のことです。「ぼれ」は、「惚れ/耄れ」と書き、年を取って頭の働きが衰えてぼんやりすることを意味しています。
「ロートル」と同様、自分に対して自嘲気味に使う場合と、相手に対する侮蔑を込めて使う場合があります。侮蔑的に使う場合、「ロートル」よりもかなりきつい言い方に聞こえる表現で、罵倒するようなときに使われます。
【例文】
- 私のような老いぼれにはもう力仕事はできません。
- うちの会社には今でも高度成長期の活躍を自慢して、今の若い者は駄目だなんて言っている老いぼれ役員がのさばっている。
「過去の人」
「過去の人」には、二つの意味があります。一つは、昔、親しく交流していたけれども、今では全く関係のない人のことです。もう一つは、一時期、注目されて人気のあった人が、今では振り返られることがなくなった人のことを指します。
「ロートル」のように加齢や能力の低下などによる年寄り扱いというものではありませんが、人間関係が少なくなり、途絶えることや人気がなくなることを「勢いが衰える」と捉えると、「過去の人」は「ロートル」の類語としても使えるのではないでしょうか。
【例文】
- 家業の羽振りが良かったときは、大勢の人にチヤホヤされていたが、経営が傾くと見向きもされず、父はすっかり過去の人になってしまった。
- 今すれ違った人って、有名な俳優の○○さんだよね。通行人が誰も気が付かないなんて、もう過去の人になってしまったんだ。