「鎌首をもたげる」とは?意味や使い方をご紹介

市街地に住む人には、草刈りなどに使う鎌にも、草むらに潜む蛇にもあまり縁がないかもしれませんね。「鎌首をもたげる」というフレーズもぴんと来ないかもしれませんが、蛇のしぐさに由来する表現です。今回は、「鎌首をもたげる」の意味や使い方を紹介します。

目次

  1. 「鎌首をもたげる」とは
  2. 「鎌首」と「もたげる」
  3. 「鎌首をもたげる」の使い方と例文
  4. 蛇に関することわざ・慣用句

「鎌首をもたげる」とは

「鎌首(かまくび)をもたげる」とは、「蛇などが首を持ち上げた様子」という意味です。今にも蛇が襲いかかって来そうな状態のことですね。

転じて、「よくないことが起きる兆しがあること。表面化していなかった活動が活発化すること」、つまり、不吉な予兆の例えとしても用いられます。

「鎌首」と「もたげる」

「鎌首をもたげる」は、「鎌首」と「もたげる」から構成されています。それぞれの言葉のもつ意味を見ていきましょう。

「鎌首」の意味

「鎌首」は、「蛇やカマキリなどが頭を持ち上げた様子」のことです。頭を持ち上げて首が曲がった状態が、鎌のように湾曲した形になることに由来しています。

そのほかも、「鎌などで首を切ること。切り取った首」という物騒な意味ももっていますが、「鎌首をもたげる」においては、前者の意味です。

「もたげる」の意味

「もたげる」は、「持ち上げる」から転じた言葉とも言われ、「持ち上げる」だけでなく、「目立ってくる。台頭する」ことも表します。

「もたげる」は、漢字では「擡げる・抬げる」と書きます。「台頭」は「擡頭」とも表記されますから、このような意味もあるのです。

「鎌首をもたげる」の使い方と例文

「鎌首をもたげる」は、日常会話ではあまり使われませんが、小説や随筆などでは使われる言い回しです。

蛇などが首を持ち上げた様子

「鎌首をもたげる」は、蛇などが頭を上げる動作だけでなく、人が頭を上げる動きなどを表現する場合もあります。

【例文】

  • 夏の暑い日、草の茂みの中から蛇が鎌首をもたげ、獲物を狙っていた。
  • 大きなカマキリが、鎌首をもたげ、今にもバッタに襲いかかろうとしている。
  • 酔いつぶれて居眠りをしていた友人がヌラリと鎌首をもたげた

不吉な予兆

「鎌首をもたげる」は、政情や天候などに悪い兆しがあることだけでなく、ある感情が湧き上がるのを感じることなどを表す際に使われます。

【例文】

  • 内紛が終結したことで、隣国への侵攻の目論見が鎌首をもたげている。
  • 近海で発生した台風は、鎌首をもたげて関東全域を縦断しそうだ。
  • 十年来の友の恋人を見るや否や、彼女に対する欲望が鎌首をもたげてきた。
  • 明かりが差して辺りが少し見えるようになると、却って恐怖が鎌首をもたげるのを感じた。

蛇に関することわざ・慣用句

「鎌首をもたげる」のほかにも、蛇に関することわざや慣用句には次のような言葉があります。

長蛇

「長蛇(ちょうだ・ちょうじゃ)」は、文字通り、長い蛇のこと。転じて、長く並んでいるものを例える言葉として、「レアもののグッズを求めて長蛇の列ができた」のように用いられるケースが多くあります。

また、好機を逃すという意味の「長蛇を逸す(ちょうだをいっす)」という言い回しでも用いられます。

蟒蛇(うわばみ)

熱帯に生息するニシキヘビのような、巨大な蛇のことを総じて「蟒蛇(うわばみ)」と呼びます。大蛇はたくさんのものを飲み込むことから、大酒飲みを指して「あの人は蟒蛇だね」のようにも使われる言葉です。

蛇の生殺し

「蛇の生殺し」は、蛇を痛めつけて半殺しの状態にしてことおくこと。又は、物事に決着をつけずにそのままにしておくことの例えとして用いられる言い回しです。

文字通り、もともとの意味は、半死半生の蛇です。これは、とどめをささずに放置するよりは、蛇は生命力が強いのでなかなか死なないことを指すとも言われています。

蛇の道は蛇

蛇の道は蛇(じゃのみちはへび)」は、蛇の通り道のことは仲間の蛇にはよくわかるという意味です。同類の者は、同じ仲間のことをよく知っているという例えとして用いられます。

つまり、何事においても、その分野の専門家ならばよく知っているということですね。「餅は餅屋(もちはもちや)」や「芸は道によって賢し(げいはみちによってかしこし)」と同じ意味です。

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