「焦眉の急」とは?意味や使い方をご紹介

「焦眉の急」という言葉をご存知ですか。聞いたことはあっても使ったことはない、という人が多いかもしれません。使われている文字のイメージからも急を要する様子が伝わってきそうですね。この記事では、「焦眉の急」について、意味や由来、使い方を解説します。

目次

  1. 「焦眉の急」とは?
  2. 「焦眉の急」使い方
  3. 「焦眉の急」由来
  4. 「焦眉の急」類語
  5. 「焦眉の急」英語表現

「焦眉の急」とは?

「焦眉の急(しょうびのきゅう)」とは、状況が非常に切迫していたり、危険がとても近くまで迫ってきたりしている様子を指す言葉です。「眉」は「眉毛(まゆげ)」のことで、「焦眉」とは、眉毛を焦がすくらいに近くまで火が迫り、とても危険な状態にあることを表しています。

「眉毛に火がつく」「眉に火がつく」「眉を焦がす」も、「焦眉の急」と同じ意味を表すことわざです。

「焦眉の急」使い方

  • 日本の少子化問題は、今や深刻な社会問題になっている。中でも保育園の質と量の確保は焦眉の急の問題であると言えるだろう。
  • 世界的な環境破壊が問題となっていて、プラスチックごみへの対策もまさに焦眉の急を要している。
  • ドラマのメインキャストの女優が不祥事によって降板することになり、彼女の出演部分をどう処理して放送日に間に合わせるかが焦眉の急の問題になった。

「焦眉」使い方

「焦眉」は「焦眉の急」という慣用句として使われることがほとんどですが、「焦眉の問題」などのように、単体で使われることもあります。この場合も「焦眉の急」と同じように、状況が非常に切迫していたり、危険がとても近くまで迫ってきている様子を表しています。
 

  • 先日の台風は大きな被害を残したが、被災した人たちの生活を立て直すことがまずは焦眉の問題だった。
  • 国際化に伴い、英語のできる人材を増やすことが焦眉の急務になってきている。

「焦眉の急」由来

「焦眉の急」は、中国南宋(なんそう)時代に編纂された禅宗の歴史書『五灯会元(ごとうえげん)』という書物に由来があります。この中の禅問答(ぜんもんどう:修行僧の質問に指導者が答える問答)の次のようなやりとりから、「焦眉の急」と言う言葉が生まれたとされています。
 

修行僧:切迫する状況とは、どんなものか?
指導者:火が眉を焼くときである。(眉毛が焼けるほど火が目前に迫ってきている状況が、いちばん切迫している状況である。)

「焦眉の急」類語

「轍鮒の急」

「轍鮒の急(てっぷのきゅう)」も、「焦眉の急」と同様、目前に危険や困難が迫ってきている様子を表しています。「轍」は、車が通った後にできるわだち(車輪の跡)、「鮒」は、魚のフナのことです。

中国戦国時代の思想家、荘子(そうし)の著書『荘子(そうじ)』雑篇の外物(がいぶつ)によると、荘子が食べるものにも困って友人(地方君主)に食べ物を借りに行くと、友人は、近々入ってくる予定の税金からお金を貸そうと言い、それに対して荘子は以下のように答えます。

「ここに来る途中、轍に溜まった水の中でフナが私に助けを求めた。私が、近いうちに水をたくさん汲んで来ようと言うと、フナは、その水を待っているうちに干からびてしまう、わずかでも今すぐ水が欲しい、と訴えてきた。今の私は、ちょうどそのフナと同じ気持ちなのだ。」

この故事から、「轍鮒の急」という言葉が生まれています。

その他の類語

「轍鮒の急」以外にも、次のような類語があります。

  • 喫緊(きっきん):差し迫って重要なこと(用例:喫緊の課題など)
  • 火急(かきゅう):差し迫った状態のこと(用例:火急の要件など)
  • 至急(しきゅう):非常に急ぐこと(用例:至急の案件など)
  • 緊急事態(きんきゅうじたい):すぐに対応しなければならない重大な事態

「焦眉の急」英語表現

  • an urgent need(urgent:差し迫った・緊急の、need:必要性)
  • a pressing necessity(pressing:差し迫った・急を要する、necessity:必要・緊急の必要)
  • an imminent danger(imminent:差し迫った・今にも起こりそうな、danger:危険)
  • an emergency(emergency:非常事態・緊急事態)
  • an exigency(exigency:危機・緊急事態)


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