「梅」とは
「梅(うめ)」とは、中国原産のバラ科の落葉高木で、500種類以上の品種が存在します。早春に花を咲かせ、夏に実を付けます。日本には奈良時代に遣隋使、または遣唐使が中国から持ち帰ったと言われています。別名に、匂草(ニオイグサ)・初名草(ハツナグサ)・春告草(ハルツゲグサ)などがあります。
現在では花見と言えば「桜」をめでるのが主流ですが、平安時代の花見は「梅」の花を観賞することが貴族の間で流行していました。日本最古の歌集「万葉集(まんようしゅう)」では、「梅」は「萩(はぎ)」に次いで二番目に多く百種以上詠まれており、当時の貴族達に親しまれていたことがよくわかります。
また、「梅」は観賞用としてだけでなく、その実は「梅干し」や「梅酒」などの食用として私たちの生活に深く浸透しています。しかし、熟していない「青梅」をそのまま食べると、中毒症状を起こすことがありますので、ご注意ください。
「梅」の花言葉
「梅」全般の花言葉は、「上品」「高貴」「高潔」「忠実」「不屈の精神」です。「梅」の花は「歳寒の三友(さいかんのさんゆう)」の一つで、寒さに耐える植物とされてきました。一年を通して一番初めに花をつけるとされており、とても縁起のいい花として慶事で使われる着物や飾りのモチーフとして珍重されています。
「梅」には、「梅」全般の花言葉以外に、花の色ごとに違う花言葉が存在します。それぞれの花言葉を見てみましょう。
紅梅の花言葉
紅梅の花言葉は「優美」。紅梅が、艶やかな雰囲気や上品な美しさ・色香を持っているところからこの花言葉がつけられました。
白梅の花言葉
白梅の花言葉は「気品」「澄んだ心」。紅梅に対して白梅は、華やか過ぎず奥ゆかしい凛とした清楚な美しさを持ち合わせているところから、この花言葉が付けられました。
ピンク色の梅の花言葉
ピンク色の梅の花言葉は「清らかさ」。ピンク色の梅の花に、まるで少女のような初々しさのとても可愛らしい雰囲気があるところからつけられた花言葉です。
「飛梅伝説」
「梅」をこよなく愛した人物の一人に、平安時代の貴族・政治家の「菅原道真(すがわらのみちざね)」がいます。ある日、菅原道真は藤原氏との政争に敗れ大宰府へ左遷されることになりました。
道真が大切にしていた桜・梅・松の三本の庭木のうち、桜は主を失った悲しみで枯れてしまいます。松の木は道真を追いかけて飛び立ちましたが途中で力尽き、摂津国八部郡板宿近く(現在の兵庫県)に降り、根をおろしました(飛松伝説)。梅の木は一晩で道真の元まで飛び、大宰府に根を張りました。この言い伝えが「飛梅伝説」と呼ばれている伝説です。
実際に、道真の庭木の梅が大宰府まで飛んで行ったかどうかは定かではありませんが、道真が梅の木を大切にしていたことは確かなようで、庭の梅へ別れを惜しんで歌を詠んでいます。
春風が吹いたら、芳しい香りの花を咲かせておくれ梅の木よ。主人がいなくなっても春をわすれてはいけないよ。
「梅」にまつわることば
- 梅は食うとも核(さね)食うな中に天神寝てござる
意味:生梅の種には毒があるので食べてはいけないという戒めの言葉。天神は菅原道真のこと。 - 塩梅(あんばい)
意味:料理の味加減、物事の具合、程合い、健康状態のこと。もともとは塩と梅酢の意味。 - 梅はその日の難のがれ
意味:朝出掛ける前に梅干を食べると、その日一日災難から身を守れる、という意味の言葉。梅干しに殺菌効果があり、薬として用いられていたことから。 - 桜伐(き)る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿
意味:桜と梅の栽培上の注意を表した言葉。桜は剪定に弱く注意が必要だが、梅は定期的に剪定しないと実が付きにくくなることから。 - 梅は岡本、桜は吉野、みかん紀の国、栗丹波
意味:「梅」「桜」「みかん」「栗」の名所・名産地を詠った歌。「梅」の名所として詠われている岡本梅林は、現在の兵庫県神戸市東灘区岡本にあります。
「梅」の花言葉のまとめ
「梅」の花言葉は、まだまだ寒い早春に可愛らしい花を咲かせよい香りを漂わせる「梅」の花の姿を連想させる言葉ばかり。花言葉を頼りに「梅」の花をプレゼントするシチュエーションは、あまりないかもしれません。しかし、お客様をお迎えするにあたり「梅」の花を飾ると、上品で優美な印象を相手に与えることができるかもしれませんね。