「一間」の読み方・意味
「一間」には「いっけん」と「ひとま」という二通りの読み方があり意味も異なります。それぞれ見ていきましょう。
「ひとま(一間)」の意味
- 一つの部屋。
- (寝殿造りなどで)柱と柱の間一つ。また、その長さ。
- 縦横とも柱の間が一つの、小さい部屋。
「いっけん(一間)」の意味
- 建物の柱と柱との間。
- 長さの単位。(尺貫法)
- 囲碁・将棋において盤の目の一つ。
「ひとま」と読む場合と「いっけん」と読む場合とで共通するのは、柱と柱の間という意味ですね。それが「一間」の根幹となる概念で、「ひとま」は空間・「いっけん」は単位として転じていったと思われます。
「一間」の使い方
「一間」を使った例文を読み方ごとにご紹介します。
「ひとま(一間)」の使い方
- 私はこのアパートの二階の一間を借りることにしました。
- 二人が暮らす部屋は六畳一間です。
「いっけん(一間)」の使い方
- 材木を一間の長さに加工します。
- 一間ほど先に何かが落ちています。
「いっけん(一間)」には将棋・囲碁での盤の目という意味もありました。将棋では一間竜や一間飛車という手筋・戦法があるそうです。
尺貫法での「いっけん(一間)」
「いっけん(一間)」は尺貫法の長さの単位とのことですが、一体どれくらいの長さなのでしょうか。そもそも、尺貫法とは何なのでしょうか。
尺貫法とは
尺貫法とは日本古来の計量法です。元は古代中国で生まれたもので、7世紀頃に日本に伝わったと言われています。大宝律令で法制化されてからは日本独自の単位として進化を遂げてきました。長さを尺、質量を貫、面積を歩、体積を升で表します。
- 長さ(尺) …33分の10メートル(≒30.303センチメートル)
- 質量(貫) …3.75キログラム(=8.267ポンド)
- 面積(歩) …約3.3平方メートル(=6尺四方)。歩は「ぶ」と読みます。坪も同じ広さです。
- 体積(升) …約1.8リットル。(=10合、10分の1斗)
これらの単位に明確な数字が定められたのは1891(明治24)年の度量衡法によってで、それまでは時代によって長さや重さなどは異なりました。からだの一部の長さや穀物の重さなどが基準となっていたためです。
明治以降はメートル法とともに使用されてきましたが、1958(昭和33)年にメートル法に統一され尺貫法は法的に廃止されました。しかし、現在も一部の業界では使用が認められています。住宅建築などではこれらの単位はよく聞きますよね。
また、面白いところでは真珠の重さは匁(もんめ)が世界の公式単位として使われています。1000分の1貫(=3.75グラム)が1匁です。
「いっけん(一間)」の長さ
尺貫法では「一間」は6尺(約1.818メートル)とされています。おおむね畳の長い辺の長さと等しいです。そして、「一間×一間」が1坪です。今でも住宅の広さは「○○坪」と言いますが、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。「畳の長辺(一間)×畳の長辺(一間)」が1坪だと思うとイメージしやすくなるかもしれません。
「一間」のまとめ
「度量衡の統一」は歴史の教科書でも政策の1つとして載っていました。しかし、メートル法が当たり前になっている現在ではその重要性を感じにくいものです。
今回、長さや重さが人のからだの一部を基準としていたことが分かりましたね。からだには当然個人差があるので、度量衡を統一しないと税収などに影響が出てしまうわけです。「一間」という言葉からは日本の単位の歴史についても学ぶことができますよね。