「エビデンス」とは?意味や使い方をご紹介

「エビデンス」という言葉の意味をご存知でしょうか。何らかの議論をしているとき、いきなり相手に「エビデンスを示せ」と言われて、何のことかわからず戸惑ってしまったという経験があるかもしれません。ここでは、「エビデンス」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「エビデンス」の意味
  2. 「エビデンス」の使い方
  3. 「エビデンス」の是非

「エビデンス」の意味

「エビデンス」とは、英単語「evidence」に由来するカタカナ語で、「根拠」「証拠」という意味です。「エヴィデンス」と綴られることもあります。

例えば、議論や論説などにおいては、何らかの主張のよりどころとなる事実(として認定される出来事)や理由が「エビデンス」に当たります。

「エビデンス」の使い方

「エビデンス」は、そのまま「根拠」や「証拠」に置き換えて使用可能です。よく聞かれるのは、「AがBだというエビデンスを示す」「AがBだというエビデンスは存在しない」「その意見のエビデンスは何?」などのかたちです。

また、学問などの専門的な領域では、「エビデンスが薄い」「十分なエビデンスが集まる」などのように、ある事実を認定する根拠としての「程度、確実性の度合い」に言及する際にもこの言葉が使われることがあります。

言葉のイメージ

「エビデンス」は、市井に流通しているカタカナ語としては比較的歴史が浅く、英語由来の言葉であるためか、よく知られている「根拠」や「証拠」などの言葉よりも、科学的、先進的、アカデミック(学問的)なイメージを伴って使われることも多いようです。

その反面、科学的検証や客観的考察を伴わない、文献に基づくわけでもない、ただの個人的見解を「エビデンス」と言うようなケースもないわけでもありません。近年では、SNSなどで乱用されることも多く、「気取った、胡散臭い言葉」というイメージを抱く人もいるようです。

例文

  • 政府は、「〇〇政策は、確かに経済回復の効果があった」ことのエビデンスを国民に示す義務がある。示せないのであれば、巨額の費用を投じた政策の責任を誰かが取るべきだ。
  • 民間療法の中には、病気への治癒効果があるというエビデンスが確認されていないものも多いため、注意したほうがいい。
  • 科学的にはまだ十分なエビデンスが得られていないものの、この運動法は経験則からある程度の健康効果が認められている。
  • エビデンスもなしに、誰かを傷つける可能性がある情報を無作為に発信してはいけない。

「エビデンス」の是非

エビデンス・ベイスド

科学性を重んじる学問の世界では、「エビデンス」がとりわけ重視される傾向にあります。それは当然と言えば当然で、例えばあなたが病気で医者にかかったとき、「どういう結果になるがまったく不明だが、試しにこの薬を飲め」などと言われたら困りますよね。

この薬を飲むとこういう結果が生まれる、この処置はこういう効果があるという科学的な「エビデンス」があるからこそ、医薬品は認可されるわけですし、医療行為も成立するわけです。

このように、「(科学的)根拠に基づくこと」を「エビデンス・ベイスド」(evidence based)と言い、医学に限らず、さまざまな科学的手法で重視されている考え方です。

計測・計数できない物事もある

一方で、何もかも「エビデンス・ベイスド」で考えていくと、かえってうまく機能しなくなる物事もあるのではないか、という見方もあります。世の中は複雑で、客観的な目で測ったり数えたりすることが難しい「エビデンス」もあるからです。

例えば、「人との付き合い方」であるとか、「泳ぎ方」などの技能において「これをやれば確実にうまくいく/成功する」という「エビデンス」を挙げることは困難です。個人差が大きい分野や、身体運用などの分野では、ひとまず実践することが大切、ということも多いのです。

学問的な領域でさえ、厳密な目で見れば「はっきりとしたエビデンスは示せないが、このやり方でうまくいっている」という物事は多く報告されています。「エビデンス」に基づいた思考は大事ですが、それだけに囚われないように留意すべきかもしれません。

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