「見る(みる)」とは?
「みる」はたくさんの意味を持つ言葉です。ここでは、目で対象物を「見る」という意味の「みる」を中心に、そのほかの「みる」についてもご説明します。ただし、補助動詞の「みる」については割愛します。
「見る(みる)」の意味
次の意味1や2のように、目で「見る」という場合は「観る」や「視る」と書くこともあります。また、3以下の「みる」にも漢字を充てることがありますが、ひらがな表記が一般的です。
- 目で事象をとらえる。視覚に入れる。眺める。
- 見物する。見学する。
- 物事に当たる。取り扱う。面倒を見る。世話をする。(「看る」とも書く)
- 調べる。たしかめる。
- こころみる。ためす。(「試る」とも書く)
- 観察して判断する。うらなう。評価する。
- 診断する。(「診る」とも書く)
- 読んで知る。
- 経験する。体験する。
- 見当をつける。そのように考える。理解する。
なお、「みる」には、夫婦になる、連れ添うという意味もありますが、古典での用法なので現在では使われません。
「見」の字義
この記事でおもなテーマは「見る」なので、「見」の字義についてもおさえておきましょう。「見」は、音読みで「ケン。ゲン」、訓読みで「みーる。み-せる。みーえる。まみ-える。あらわ-れる」と読みます。
意味は、①みる、みえる、②ものの見方、考え方、立場、③人に会う、まみえる、④あらわれる、あらわすなどです。
「見る(みる)」の使い方
上記のように「みる」には、たくさんの意味がありますので、視覚的な「見る(観る/視る)」とその他の「みる」について使い方をご紹介します。
意味1,2:視覚的な「見る(観る/視る)」
視覚的な「見る(観る/視る)」については、いうまでもなく「目」で見る行為を表します。
【例文】
- 10年前、パリでノートルダム大聖堂を初めて見た。
- 若いころから芝居は好きだったが、これまで歌舞伎を見る(観る)ことは一度もなかった。
- 去年の春、奈良の吉野山で満開の千本桜を見る(観る)ことができた。
- 対向車のヘッドライトがまぶしくて、しっかり前を見る(視る)ことができなかった。
意味3~10:その他の「みる」
視覚的に見たことも含めて、「みた」結果で物事を考えたり、判断したり、理解する場合に使われるのが、その他の「みる」です。また、経験することも「みる」と表現することがあります。
【例文】
- 意味3:退職して、寝たきりの母の面倒をみる(看る)ことにした。
- 意味4:家庭教師に宿題をみてもらった。
- 意味5:専門店でヘッドフォンの音質をみることにした。
- 意味6:手相をみてもらったところ、転職はもう少し様子をみるほうがいいと言われた。
- 意味7:のどが痛かったので、医者でみて(診て)もらった。
- 意味8:ガイドブックでみた観光名所を訪ねた。
- 意味9:不祥事の責任を一身に負わされて、左遷の憂き目をみることとなった。
- 意味10:近いうちにA社のB社買収が成立するとみている。
「見る」の類語
ここでは、視覚的な「見る」(意味1,2)の類語を紹介しましょう。
「眺める」
「眺める(ながめる)」は、遠くを見渡したり、じっと見つめたりすることです。また、物思いにふけってぼんやりとみることも意味します。
【例文】
- 夜明け前の海岸で、はるか東の水平線を眺めていると太陽が昇ってきた。
- タンスの上から飼い猫が僕の顔をじっと眺めている。
「目を向ける」
「目を向ける」は、視線を対象物に向けて見ることです。これも「見る」の類語に挙げられます。ただし、「目を向ける」は、物事に関心を持つという意味も派生している点では「見る」とは異なります。
【例文】
- 犯人の足取りを追っていた刑事は、現場近くの防犯カメラに目を向けた。
- 救急車のサイレンに気付いた生徒たちが窓の外に目を向けると近くの工場から煙が出ていた。
「鑑賞する/観賞する」
「鑑賞(する)」は、芸術作品などを見たり聞いたりして、味わうことです。一方、同音異義語の「観賞(する)」は、美しいものなどを見て楽しむことを指します。
どちらも「見る」の類語ですが、そのほかの「みる」(意味6:観察して判断する、意味9:経験する)に通じるところもありますね。
【例文】
- 日本画の展覧会で、水墨画を鑑賞する和服の男性に見とれてしまった。
- 散歩しながら道端の名も知らぬ草花を観賞するのが私の趣味です。