「欠ける」の意味
「欠ける」(か-ける)という言葉には、以下の3つの意味があります。
- 一部分がこわれる。損じる。なくなる。
- あるべきものがない。
- 満月から新月へ向けて月が小さくなっていく。
「欠ける」の使い方
「欠ける」の基本的な使い方は、意味1にあるように、「物の一部分」が何らかの形で壊れる(砕ける、崩れる、破損するなど)ことを指します。「歯が欠ける」「皿が欠ける」など、物理的なイメージですね。
意味2の「あるべきものがない」は、「集中力に欠けるプレー」「根拠に欠ける発言」などのように、そこにあるべき、当然求められる何かが備わっていないことを表します。意味1と同様、不足や欠如を表す点は同じといえるでしょう。
意味3は文字通り、月の「満ち欠け」についての文脈でのみ用います。月は約29.5日の周期で(見かけ上の)形を変えていき、丸く見える満月の状態から、何も見えない新月の状態まで、約15日かけて「欠けて」いきます。
例文
- 父が大事にしている日本刀をうっかり落としてしまい、刃の先っぽが欠けてしまった。
- 中古のテーブルを買った。説明通り、端っこがちょっと欠けていたが、実用に支障はない。
- 彼は挑戦心こそあるが、謙虚さや誠実さが欠けているようだ。
- あの映画は映像づくりこそ豪華だったけど、ちょっと脚本の面白みに欠けるね。
- 深夜の散歩中、ふと空を見上げると、半分欠けた月が浮かんでいた。
「欠ける」の英語表現
「壊れる」意
「皿の端が欠ける」のように、何かが(部分的に)壊れることを言いたい場合には「chip」を使います。名詞では「切れ端」「破片」「かけら」などの意味であり、これを動詞として用いると、小さく削る・切る、欠けるという意味になります。
ただ、「chip」はあくまでも壊れる意ですので、何らかの要素が「欠如・不足」しているという意味では使うことはできません。
【例文】
- I took a nasty fall on the road and chipped my tooth.(道路で派手に転んで、歯が欠けてしまった。)
- He regularly uses the mug with a chipped edge as it is.(彼は端っこが欠けたマグカップをそのまま常用している。)
「欠如・不足」の意
人・物・事などにおいて、属性・要素・必要なもの・性質などが「欠けている/欠いている/(~だけが)足りていない」と言いたい場合には「lack」を使います。
また、文脈に依存しますが、「〇〇が欠けている」ということは「〇〇が望まれる/求められる」ということもであるため、否定文や疑問文の中であれば「want」(望む、求める)も「欠ける」と訳すことができます。
その他、「部品など、一部のものが欠けている」という意であれば「missing」(行方不明、足りていない)。「面白さに欠ける」という意であれば「uninteresting」(面白くない)といった単語選びもできます。
【例文】
- His behavior is a bit lacking in delicacy.(彼の振る舞いは、ちょっとデリカシーに欠けるところがあるね。)
- People living in city want to daily excercise.(都市に住む人々には毎日の運動が欠けています〔=毎日の運動が望まれます〕)
- The umbrella I lent to a friend was returned to me with the handle missing.(友人に貸した傘が、持ち手が欠けた状態で返ってきた。)
「月が欠ける」
「月が欠ける」と言いたい場合には、「wane」という単語があります。他に、「光や勢いなどが衰える、弱まる、終わりに近づく」という意味も表します。対義語は「wax」です。
【例文】
- The moon will be waning tonight.(今夜から月が欠けていく。)