「イナフ」の意味とは?
「イナフ(enough)」は、数量や程度などが十分であることを表す英単語です。形容詞として用いられるほかに、副詞や代名詞としても機能します。
「十分」と聞くと良い意味だ思えるかもしれませんが、すべてがそうとは限りません。「そんな説明ならもう十分だ!」のような言い回しでは、多分にネガティブなニュアンスが含まれるからです。
「enough」も事情は日本語と同じで、良い意味にも悪い意味にも使われるという点には注意しましょう。
日本語の「十分」と英語の「イナフ(enough)」
慣用的に、「十分」が「(漠然として)いっぱい。沢山」と同じように使われることがあります。しかし、国語辞書に拠れば、「十分」とは「(ある物事が)満ち足りていて不足がない様子」という意味です。
「イナフ(enough)」についても同様で、「いっぱい。沢山」という意味はなく、「(あるものに対して○○が)満ち溢れるほどにある」ということを表すにすぎません。「十分」も「enough」も「必要な物が必要なだけある」ことを指します。
「イナフ」の使い方
形容詞としての用法
一般的に、「イナフ(enough)」を形容詞として用いる場合は修飾する名詞の直前に置きます。一部の名詞については、「food enough」(十分な食べ物)のように名詞の直後に置くこともありますが、やや古風な言い回しなので現代ではあまり使われません。
【例文】
- There's enough room to park a car.(車1台を駐車するのに十分な空間はある。)
- I've had enough trouble.(トラブルは十分だ。/もうトラブルは要らない。)
副詞としての用法
副詞の「イナフ(enough)」は、「kind enough」(十分に親切な)、「early enough」(十分に早い)のように修飾する形容詞や副詞のすぐ後ろに置きます。
【例文】
- The book was easy enough for me to read.(その本は私が読むには十分に易しかった。
- I can never thank you enough.(私は十分に感謝することができない。/いくら感謝してもしきれない。)
代名詞としての用法
本来ならば「enough + 名詞」とするべきところ、同じ名詞の繰り返しを避けるために「enough」とだけ書くことがあります。
これが「イナフ(enough)」の代名詞としての用法です。この場合は、「enough」の後に何が省略されているのかを読み解く必要があります。
【例文】
- She forgot to buy butter, so there there's not enough.(彼女がバターを買うのを忘れたので、十分な量がない。)※enough = enough butter
- That's enough.(それでもう十分だ。/いいかげんにしろよ。)
- Enough is enough.(そこまでで十分だ。/もうたくさんだ。)
例文の下の2つは定型文です。この場合、同じ文の中に省略されている名詞を見つけることは出来ませんので文脈から判断します。
「イナフ」を含む慣用表現
「イナフ(enough)」のコアである「必要量・必要数を満たした」という意味を理解しておくと、以下のような「enough」の慣用表現の暗記がグッと楽になるでしょう。
- Would you be kind enough to ~ ?:(~するのに十分なくらい親切にしてくれますか?)→(~していただけませんか?)
- can't get enough of ~:(~を十分に得られない)→(~に飽きることがない)→(~が大好きだ/~に目がない)
- can't ~ enough:(十分に~できない)→(いくら~してもし足りない)
- have enough to ~:(やっとのことで~する)
- more than enough:(必要以上に/十二分に)
- oddly enough:(十分に変なことに)→(奇妙なことに)