「集大成」とは?意味や使い方をご紹介

2019年、ラグビーのワールドカップが世間をにぎわせました。「4年間の集大成」、「集大成を見せる」と日本チームが語られているのを見聞きする機会がありましたね。この「集大成」とはどういう意味なのでしょうか。ここでは、「集大成」について解説します。

目次

  1. 「集大成」とは?
  2. 「集大成」の使い方
  3. 「集大成」の類語
  4. 「集大成」の英語表現
  5. 「集大成」の語源

「集大成」とは?

「集大成(しゅうたいせい)」は、次のような意味の言葉です。
 

  1. たくさんのものを集めて体系的に整理し、まとめること。また、そのまとめたもの。
  2. 長い間、活動したり努力してきたりしたものの結果。

1では「長年の研究の集大成」のように使われ、2では「演奏生活の集大成となるコンサート」のように使われます。

「集大成」の使い方

  • 高校の科学部の部長だったA君が、最後の文化祭で集大成となる研究の発表をして喝采を浴びた。
  • 大学での研究の集大成としてまとめあげた論文が高い評価を受け、希望通りの職種に就職することができた。
  • 今日の試合を最後に引退する野球選手が、その野球人生の集大成としてふさわしいプレーを見せてくれた。

「集大成」の類語

集成

「集成(しゅうせい)」は、たくさんのものを集めてまとめあげることや、まとめあげたものを指します。

【例文】
さまざまな校則を集成して、表にしてみました。

網羅

「網羅(もうら)」は、すべてのものを残らずに集め、取り入れることです。魚をとる「網」と、鳥をとる「羅(あみ)」から成り立っています。

【例文】
先生に勧められて購入した英語の参考書は、基礎的な内容をすべて網羅していてとてもわかりやすい。

その他の類語

  • 組みあげる
  • まとめあげる
  • 取りまとめる

「集大成」の英語表現

compilation

コンピレーションアルバムのようにカタカナ語としても用いられる'compilation'という単語には「編集・編集物」といった意味がありますが、「集大成」という意味でも用いられます。

IT用語で用いられるコンパイル(人間が書いたプログラムをコンピュータが実行可能な形式に変換すること)の由来である'compile'は、'compilation'の動詞形。「編集する・編纂する・まとめあげる」といった意味です。

【例文】

  • It is the compilation of long years of research.(これが長年の研究の集大成です。)
  • She compiled the fruits of years of study on marine life into a book.(彼女は、長年の海の生物に関する研究を集大成して、一冊の本にまとめあげました。)

その他の英語表現

「集大成」の英語表現には、ほかにも次のような表現があります。おもに、「すでにある材料をまとめあげる」という表現で「集大成(する)」の意になる言葉です。

  • culmination:最高点・絶頂・全盛・成就などの意から「集大成」を指すこともある。
  • summing‐up:要約。まとめあげたもの。
  • compose:作曲するの意もあるが、「書き上げる」という意味もある。
  • put together out of existing material:既存の材料から、まとめられるの意。

「集大成」の語源

「集大成」は、中国の戦国時代の儒学者、孟子(もうし)の逸話や問答を集めた『孟子』巻10・万章章句下に記されている次の言葉に由来すると言われています。
 

孔子之謂集大成、集大成也者、金声而玉振之也、金声也者、始条理也、玉振之也者、終条理也

【和訳】孔子は、これらの聖人の道を集大成した徳の高い人だ。集大成とは、音楽でいうところの金声と玉振をあわせて持つようなものである。金声で合奏は始まり、玉振で合奏は終わる。

孔子(こうし)は、春秋時代の中国の哲学者、思想家で儒教の始祖とされる人物です。孟子は、孔子の人格について、「孔子之謂集大成(孔子は之を集めて大成す)」と言っています。

つまり「孔子はたくさんの徳を集めて人生を成し遂げた(大成した)、とても偉大で徳の高い人だ」とほめたたえているのですね。ここから、集大成という言葉が生まれました。

「金声玉振」とは?

上の孟子の言葉に出てくる四字熟語「金声玉振(きんせいぎょくしん)」も、知と徳とを兼ね備えて大成することのたとえとして使われる言葉です。

「金」は鐘、「声」は鳴らすこと。また、「玉」は玉石でできている「へ」の字型の打楽器、磬(けい)、「振」は収めることを指します。中国では、昔、音楽を演奏するときには鐘を鳴らして始め、磬を叩いて終わりにしました。

ここから、「金声玉振」は、初めから終わりまで整っている様子を表現していることから、転じて知と徳とを兼ね備えた様子も表すようになったのです。


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