「奇行に走る」:意味
「奇行に走る」は「普通の人が行わないような、風変わりな行動をする」という意味です。
例えば、いきなり障子を破り出したり、紙を食べるようになってしまったり、普通の行動ではないことをするようになってしまった場合に「奇行に走るようになってしまった」といいます。
奇行:意味
「奇行」は<きこう>と読みます。意味は「普通とは変わった奇抜な行動」のことです。
「奇」という字は「珍しい」「不思議な」といったポジティブな意味と、「怪しい」「変な」といったネガティブな意味を持ち合わせています。良い意味でも悪い意味でも「普通と違っていること」ということです。
「奇行」の場合は、ネガティブな意味で「怪しい行動」「変な行動」という意味になり、常識から逸脱しているような行動を指します。
走る:意味
「走る」は「生物が足を動かして、速やかに前に進む」という意から、「ある方向に強くかたむく」という意味に転じました。
通常「〜に走る」の形を取り、「趨(はし)る」と綴られることもあります。「悪事に走る」などの「走る」も、同じ用法です。
「奇行に走る」で「奇行という方向に強くかたむく」という意となり、「おかしな行動をする」というニュアンスで使われます。
「奇行に走る」:使い方
「奇行に走る」の「走る」は、上で述べたように行動そのものではなく「ある方向に強くかたむく性質や傾向」のことです。したがって、「奇行に走る」は、ひとつひとつの奇行の内容というより、奇行に向かう性質や傾向について用いられます。
また、「奇行」は「普通の人が行わないような、風変わりな行動」のことですが、「普通の人が行わない」といっても、世の中の人がすべて同じ行動をとっているわけではありません。考え方や思想も十人十色です。
少しばかり世間のやり方と違っているからといって、それを安易に「奇行だ」「あの人はすぐ奇行に走る」などと言わないようにご注意ください。
例文
- あの人はご主人を亡くされてから、奇行に走るようになってしまったそうだ。
- 彼女は酒癖が悪く、飲みすぎると奇行に走る傾向がある。
- 有名な芸能人が、奇行に走る様子が週刊誌で取り上げられていた。
- 心がデリケートな人は、ストレスが溜まると奇行に走りやすいと言われている。
「奇行」を使った表現
「奇行に出る」
「奇行に出る」の意味は、「普通の人がしない変わった行動を取ること」です。「奇行に走る」と同じように使われます。
【例】
- 彼女は追い詰められると奇行に出るから、気をつけてね。
- 認知症患者が奇行に出るケースも稀ではない。
「奇行が目立つ」
「奇行が目立つ」とは、言葉の通り、「奇行が際立って見える」という意味です。変わった行動を取っている姿が、目を引いている状況を表します。
【例】
- 「叫びながら、廊下に座り込む」などの奇行が目立つ生徒だったという。
- 鬱病が悪化し、奇行が目立つようになった。
「奇行に走る」:言い換え表現
奇怪な行動に走る
「奇行に走る」の言い換え表現として、おかしな行動をすることを「奇怪(きかい)な行動に走る」と言い表すことができます。
「奇行」と「奇怪」は漢字は似ていますが、「奇怪」の意味は「不思議なこと」「あやしいこと」で、行動するという意は含まれていません。
また、「奇矯(ききょう)」も「言動などが普通の人とひどく変わっていること」という意味があり、「奇怪」と同じように「奇行に走る」の言い換えに使うことができます。
【例】
- 隣人は奇怪(奇矯)な行動に走ってばかりで、気味が悪い。
エキセントリックな行動を取る
現代では差別用語とみなされ、使用されるシーンは減りましたが、世間から見て、おかしな行動を取る人物、または社会的に容認されない行動のことを「きちがい」と呼ぶことがあります。
「きちがい」は差別的側面がかなり強めのため、公の場などでは「エキセントリック」(突飛な、奇矯な)などの言葉を用いたほうが適しているでしょう。
【例】
- 彼のエキセントリックな行動を取るところだけは、ついていけない。