「それな」の意味
世間話として「昨日は暑かったね~」なんて言ったとき「それな」と返されたらみなさんはどうしますか?「それな」はティーン・エイジャーを中心に爆発的に広まった若者言葉で、大手ウェブサービスであるTwitterでは今や数秒間隔で使用されているほどの常套句(じょうとうく)です。
この語句の用途は多岐にわたり、文脈によって意味が変わるため語意を断定することができません。ただしいずれの用途であっても、「肯定を示す相槌である」ということだけはハッキリと共通しています。以下の項で具体的な使用例を挙げるので、文脈による意味合いの違いを見ていきましょう。
「それな」の使い方
「それな」は基本的に相手への同意を示す言葉です。冒頭で例に出した「昨日は暑かったね」に対する「それな」は、「そうだね」という意味になります。
また「それな」にエクスクラメーションマークをつけて強調する場合や、前部に「ほんと・本当・ほんま・マジ」など付ける場合、「それな、それな」と二度繰り返す場合などは「本当にそのとおり!」という強い賛同を表します。
あるいは「昨日人前で転んだんだけど、恥ずかしかったー」「それな」というときに示されるのは、同意よりも「そうか、なるほどね」という理解の意です。外出の計画など既知の話題に対する「それな」は「ああ、その件ね」という意味になります。
「それな」の顔文字
「それな」はSNS上など文字のやり取りにおいては、しばしば顔文字とセットで使用されます。「σ」や「╭☞」を使用することにより、人差し指で何かを指し示す仕草を表現するのが「それな」の顔文字の特徴です。
(´ー`)σ ・ (σ´-ω-`)σ
表情部分は「それな」という言葉への力の込め方によって変わります。例えば(´ー`)σや(σ´-ω-`)σを使用するなら「まあ、そうだね」という、弱めの賛同を示している傾向があります。賛同の弱さの所以は、「今更強く賛同するまでもない周知の事実である」「強い興味を惹かれない話題である」など状況によってさまざまです。
(σ・ω・)σ ・ ☜(゚∀゚☜)
通常~やや強めの賛同を示す場合には(σ・ω・)σや(╭☞'ω')╭☞、( ◑ω◑☞)☞などを使用すればよいでしょう。さらに強い賛同を示すなら☜(゚∀゚☜)や(σ≧∀≦)σといった、顔部分が笑顔のものを使用すればテンションが表現しやすくなります。
( ᐛ )σ
またキーボードアプリ「Simeji」を開発しているバイドゥ株式会社によると、2017年度のSimeji・今年の顔文字大賞を受賞したのは「それな」を表す( ᐛ )σという顔文字でした。
「それな」の類語
「それな」に近い若者言葉で「あーね」というものがあります。
あーね
どちらも相槌として使用されるワードですが、「あーね」の場合は同意よりも「あなたの言いたいことを理解しました」と示すニュアンスが強いので、使い所を間違えないようにしましょう。
せやな
同じく「せやな」も使い所には注意が必要です。「せやな」は一見同意を示しているように見えますが、SNS上などで使用される際には「正直私にとってはどうでもいい話題なので、一応形だけ同意しておきますね」というニュアンスが多分に含まれます。基本的に気のおけない間柄でのやり取りに限定される語句であることを覚えておきましょう。
ほんそれ
また類語ではありませんが「それな」から派生した略語で「ほんそれ」という言葉があります。「ほんとそれな」の略なので、強い賛同を表すときに使用します。
「それな」の使用上の注意点
「それな」は非常に便利なコミュニケーション・ワードです。ともすれば双方「それな」だけで会話が成立してしまうことさえあります。例えば「昨日財布忘れて出かけちゃって、最悪だった」「それなー(そうなんだ、なるほどね)」「それな(そうなの)」「ほんまそれな(確かに災難だね)」「ほんとそれ(でしょでしょ)」といった具合です。
しかし「それな」が便利なのは、わざわざ相槌を考えなくても相手が文脈から勝手に意図を汲み取ってくれるからです。発言する方は楽ですが、受け手は常に意図を察する労力を費やします。また「それな」が楽な相槌だと知っている人は、その受け答えを軽薄に感じる場合も少なくないようです。
さらに意図の解釈を受け手に委ねるため、「それな」には誤謬(ごびゅう)の危険も付きまといます。少なくとも、真剣な話をする際は使用しないのが無難です。若者言葉であるがゆえに、「それな」はTPOや使用する相手がかなり限定されることを覚えておきましょう。