「図々しい]の意味とは?
「図々しい」(ずうずう-しい)は形容詞です。状況をわきまえずに遠慮なく振る舞うさま、周囲に迷惑をかけてもまったく気にしない態度を表します。
「図々しい」の使い方と例文
「図々しい」は良い意味ではありません。ある人の言動に対し、見苦しい、恥知らずと批判するときに使う言葉です。
ただし、親しい人の無遠慮な様子や勝手な行動について「図々しい」と直接本人に言う場合は、軽い調子でからかう、もしくは、たしなめるといった意味合いとなります。
次の項から、「図々しい」様子をパターン別に分けて詳しく説明しましょう。
自分勝手にふるまう
ある人の言動が自分勝手で押し付けがましい、自分の利益を優先して周囲への配慮を欠いていることを表すとき、「図々しい」を使います。
また、「図々しいお願いで申し訳ありませんが」などのフランクなクッション言葉(文章の印象を和らげる働きをする言い回し)として用いられることもあります。
【例文】
- お茶の準備や片付けはしないくせに、お客さんに「自分がやりました」という顔をしてお茶出しだけするAさんは図々しいと思う。
- 図々しいお願いで申し訳ありませんが、こちらの商品の写真を撮らせていただけませんか?
人の迷惑を考えない
他人への迷惑をかえりみない様子を「図々しい」と言うこともあります。人の言動に対してだけでなく、動物の行動などにも用いる表現です。
【例文】
- 食事の約束をドタキャンしておいて「また誘ってください」なんて、図々しいにもほどがある。
- 我が物顔で公園のベンチに寝そべって、図々しい野良猫だ。
礼儀を知らない
「図々しい」は、目上を立てずに無遠慮に振る舞ったり、公的な場でマナーを無視して行動する様子を表す場合もあります。
【例文】
- Bさんの、会社の重鎮にタメ口をきくような態度は図々しい。
- 平気で列に割り込んでくる図々しい人は、老若男女関係なくいるよね。
「図々しい」の類語
厚かましい
「厚かましい」(あつ-かましい)とは、自分の目的の達成や利益のために、遠慮せずに平然と振る舞うことです。
「厚かましいですが~」などのかたちでクッション言葉として使う場合もあります。
【例文】
- 何度も「ご飯をおごれ」なんて、彼は厚かましいにもほどがある。
- 厚かましいことを言うようで申し訳ありませんが、締切を3日後にしていただけないでしょうか。
臆面もなく
「臆面」(おくめん)とは、気後れしておどおどしているようなさま、そのような表情を指します。ほとんどの場合、「臆面もなく」のかたちで用いられます。
「臆面もなく」とは、無遠慮に、気後れする様子もなく、図々しくといった意味です。
【例文】
- 彼女はパーティーに招かれてもいないのに、臆面もなく真ん中の席に座った。
- 騒ぎを起こして職場に迷惑を掛けたCさんについて、臆面もなくよく出社できるものだと皆呆れている。
図太い
「図太い」(ずぶと-い)とは、神経が太くて何があっても動じずにいる様子のことです。ネガティブな意味は「図々しい」と同じです。ただし、「図太い」はポジティブな意味で、大胆な様子、少しのことでは揺らがないさまを表すこともあります。
【例文】
- 人に注意されても意に介さないDさんは、なかなか図太い性格だね。
- Eさん、あなたは遠慮し過ぎだよ。Fさんのように図太さを持った方がいい。
僭越ながら
「僭越」(せんえつ)は、自分の身分や立場をわきまえることなく出過ぎた行動をすること、もしくは、そのような様子を指す言葉です。
多くは「僭越ながら」「僭越ではありますが」などのかたちでクッション言葉として使われます。これらは、「出過ぎた真似をするようではありますが」「差し出がましいようですが」と同様、謙遜の意を表す言い回しです。
ビジネスの場、式典などの挨拶やスピーチで耳にする機会があるでしょう。
【例文】
- 僭越ながら、同期を代表して祝辞を述べさせていただきます。
- 僭越ではございますが、乾杯の音頭を取らせていただきます。
傍若無人
「傍若無人」(ぼうじゃくぶじん)とは、人目を憚らずに自分勝手な行動をすることです。他人を無視して言いたい放題をするさまを表す場合もあります。ある人の目にあまる言動に対して使うという点は「図々しい」と同じですね。
「傍若無人」は中国の歴史書『史記』が出典です。「傍らに人無きが若し」(かたわらにひとなきがごとし)と読み下し、そばに人がいないように振る舞うさまを表しています。
【例文】
- 人というものは、権力を持った途端に傍若無人に振る舞いがちだ。
- 彼はプロジェクトを成功させて調子に乗っているのか、近頃、傍若無人な言動が目立つ。