「2.5次元」とは?
「2.5次元」(2.5じげん)とは、もともと平面(2次元)上に描かれたイラスト・マンガ・アニメなどのコンテンツが、何らかの方法で現実的空間(3次元)上に表現されたもののことや、そうした表現が行われる「次元の境界、狭間」を指します。
「2.5次元」を実現する「何らかの方法」にはさまざまな種類があり、疑似的なもの、部分的なもの、錯覚を用いたものなどを含みます。中には、受け手の補正や了解を前提とする表現物もあるため、あくまでもネットスラング的な意味合いが強い言葉です。
「次元」そのものは数学・物理学などの用語ですが、学問的な観点から次元の定義に言及する言葉ではありませんので、念のためご注意ください。
「2.5次元」の例
フィギュア
本来は平面で表現されたイラスト、マンガ、アニメ、ゲームなどのキャラクターを、立体的な模型として表現した「フィギュア」は、概ね2.5次元の創作物と呼ばれます。
模型であるわけですから、物理的には3次元的な代物なのですが、「2次元のイメージを忠実に写し取っていること」から、一種の信仰もこめて2次元と3次元の中間にあるものと捉えられる傾向にあります。
コスプレ
「コスプレ」(コスチュームプレイ)とは、現実の人間が、2次元世界のキャラクターなどの衣装・小道具・外見的特徴などを再現してそのキャラクターになりきることを言います。
現実の人間が演じるわけですから、物理的に見ればやはり3次元ですが、2次元のキャラクターイメージが現実世界に投影されるため、コスプレも「2.5次元」のコンテンツに数えられることがあります。
ミュージカル・演劇
最近では、マンガ・アニメなどを原作とする舞台ミュージカルや演劇が「2.5次元ミュージカル」という呼び名で開催されることもあります。
現実の俳優がコスプレなどをして原作のキャラクターになりきって演技し、原作のシーンを再現するといった手法が良く使われます。フィギュアやコスプレに比べ、俳優らの演技や舞台演出など表現の幅が広いことがひとつのメリットです。
反面、3次元上の演技はどうしても原作(2次元的な表現)と乖離(かいり)してしまい、不自然に見えてしまうことがあるという意見も散見されます。
声優
アニメなどのキャラクターに声を当てる、声の俳優としての「声優」が、「はまり役」としてあるキャラクターに同一化されて見られたり、声優本人の人格や外見イメージなどがアイドル化されて、「2.5次元」として扱われることもあります。
声優本人はもちろん三次元に存在する現実の人間です。しかし、「声」という要素はキャラクターのイメージ作りに大きなウェイトを占めるためか、いわば次元の「垣根越え」のような現象が起こるようです。
3DCG
「3DCG」(3-dimension computer graphics)は、コンピュータによって作成される3次元の画像や映像作品のこと、その技術です。
しかし、いわゆる「現実、リアル世界」と対極の意味としての「2次元」の意味が広まった結果、アニメ調のキャラクターを3DCGで作成・再現することも「2次元に近しいもの」として、「2.5次元」と称されることがあります。
近年では、3DCGで作成したキャラクターでパフォーマンスを行わせる映像やゲームなども、「2.5次元の作品」と呼ばれる傾向にあります。
Vtuber(ブイチューバー)
最近では、2次元のイラスト調・アニメ調のキャラクターを画面内に配置し、演者がそのキャラクターに成りきって動画配信サイトで動画配信を行う「Vtuber」(Virtual Youtuber)という文化も生まれています。
画面内のキャラクターは演者(実際の人間)の表情(まばたき、口の動き、首を傾げる)などを高い精度でリアルタイムに再現し、まるでそのキャラクターが生きているかのような演出を可能としています。先述の3DCGの技術が使われることもあります。
技術的にはまだ発展途上な部分もありますが、この「Vtuber」も、見ようによっては2.5次元のコンテンツに加えることができるでしょう。
「2.5次元」の使い方
- フィギュアはいい。2次元の映像よりも、2.5次元はキャラクターに圧倒的な存在感があっていいね。
- コスプレを2.5次元と言うのは、何だか奇妙な感じがする。
- オタク趣味を極めると、2.5次元のコンテンツを追い求める人が多いらしい。
- 来週、2.5次元ミュージカルを見に行こうかな。どんなものか興味がある。