「支離滅裂」の意味とは?
「支離滅裂」(しりめつれつ)は、ばらばらでまとまりを欠く様子、一貫性がなく矛盾のある状態に終始することを表す四字熟語です。
「支離」の意味は細かく分かれて離れること(「支」に「分かれる」「枝分かれする」などの字義がある)です。また、「滅裂」は、切れ切れに裂かれて元の形がなくなること、統一性を欠いていること(「滅」には「ほろびる」「きえる」などの字義がある)を表しています。
「支離滅裂」で同じような意味の熟語が重なり、「物事がバラバラになった状態」を強調しています。
「支離滅裂」使い方と例文
「支離滅裂」は物事や話などの内容がまとまっていない、もしくは、人の言動などが一致せずにつじつまが合わないといった様子を表す場合などで使います。良い意味で使われることは少ないです。2つのパターンに分けて使い方と例文を紹介します。
内容にまとまりがない
「支離滅裂」は、物事の内容にまとまりが感じられないことを表すのに使います。例えば、準備不足や緊張のために上手く要点を掴んだ話が出来なかった、順序立てた説明ではなく、内容を把握するのが難しいなどのケースがあります。
【例文】
- あなたの論文を読ませてもらったけれども、支離滅裂で何を主張したいのかよくわからないね。
- 〇〇さんが支離滅裂なクレームを吹っかけてきた。
- すごく緊張して、面接で支離滅裂な受け答えをしてしまった。
- 短期間で準備不足が否めず、支離滅裂なスピーチをして恥をかいた。
つじつまが合わない
「支離滅裂」は、話のつじつまが合わないことを表す時にも使います。また、最初と後からでは言ったことが違い、一定せずに軸がぶれているさまも表せます。その場をやり過ごすために、適当に言い繕っているように見て取れる場合もあるかもしれません。
【例文】
- 「〇〇さん、急な葬儀で出席出来ないとのことだけれど、今日は友引だよね。支離滅裂なことを言っていない?」「友引にこだわらない宗教なのかもよ。」
- 生活が荒れだしてから彼の言動は支離滅裂になり、信用できなくなった。
- 上司はその場の思いつきで、次々に支離滅裂な指示を出すため、後で何度も確認をする羽目になる。
- Aさんは「自分の責任だ」と認めていたのに、後から「しっかりと教えない先輩の責任」と支離滅裂なことを言い出した。
「支離滅裂」と似た意味の四字熟語
乱雑無章
「乱雑無章」(らんざつむしょう)は、物事が雑に乱れて整理されていないという意味です。「無章」で筋道が立たない、秩序が乱れているといったことを表します。
もともとは、中国の文人「韓愈(かんゆ)」の『送孟東野序』(孟東野を送るの序:もうとうやをおくるのじょ)が出典で、「(言葉が)乱雑で章無し(表現の美しさが感じられない)」という内容から来ています。
【例文】
- Bくんの部屋は座る場所も無いくらい乱雑無章だね。これがいわゆる「汚部屋」か…。
- 乱雑無章な手紙で失礼します。自分でもどのようにまとめてよいかわからないのです。
四分五裂・四分五散
「四分五裂」(しぶんごれつ)とは、国や体制、団体などがばらばらで、秩序をなくして乱れていることで、「四分五散」(しぶんごさん)も同様です。「四」「五」は具体的な数ではなく「いくつもの」という意味です(数え切れない程の多数を表すわけではありません)。
出典は、中国の歴史書『史記(しき)張儀列伝(ちょうぎれつでん)』もしくは、『戦国策(せんごくさく)魏策(ぎさく)』です。
張儀が君主の魏の哀王(あいおう)に、中国国内は色々な国が乱立して「四分五裂」の状態だと説明し、秦(しん)と同盟を組んで、各国と対抗すべきと説く場面で使われています。
【例文】
- 独裁者を倒した直後のB国は四分五裂の状態に陥っていたが、現在は落ち着いているようだ。
- 党首の醜聞(しゅうぶん)が明るみに出て、C党は内紛状態となり四分五散の状況である。
「支離滅裂」反対の意味に近い四字熟語
理路整然
「理路整然」(りろせいぜん)とは、文章や話などが順序立てて分かりやすく、道理に合ったやり方をしていることです。「理路」は物事がそのような状態である理由や正しい順序などのこと、「整然」は正しく整っている様子をいいます。
【例文】
- 彼は理路整然と自分のアリバイを説明したため、容疑者のリストから外された。
- 営業の人が理路整然とした話し方で商品を勧めると、説得力が増すね。
首尾一貫
「首尾一貫」(しゅびいっかん)とは、方針や考え方、態度などが初めから終わりまでぶれずに変えないことをいいます。「首尾」は「頭としっぽ」のことで、転じて物事の「最初から最後まで」という意味、「一貫」とは1つの物事を変えずにいることです。
【例文】
- Dくんは首尾一貫して、友人のEさんを擁護した。
- 彼の意見は首尾一貫していて、周りに流されずすごいなと思った。