「避ける」の読み方とそれぞれの意味
「避ける」の2通りの読み方は、意味が似ていますが、微妙に違いが見られます。
- 「さける」…嫌な物事・人に近づかない。好ましくない出来事を予測して起こらないように対処する。
- 「よける」…危険な物、被害を受けそうな物から離れて、直接触れないようにする。もしくは、ある物をより分けておく。なお、「よける」は「除ける」とも表記します。
「避ける」の使い方と例文
以下で2通りの読み方の使い方と例文を紹介しますが、例えば「車をさける(よける)」とか「水たまりをさける(よける)」といった、危険な状況や好ましくない状況から自分が離れることを表す場合のように両方の読み方を使うこともあります。
「避ける」(さける)
「避ける」の両方の読み、「さける」も「よける」も、物事から距離を置く意味で使います。しかし、「さける」の場合は、できるだけトラブルなどの嫌な事態に直面しないように、事前に準備や配慮をするような意味を含んでいます。
【例文】
- 電車で出かける際に、通学や帰宅時のラッシュアワーを避けるように注意した。
- Aくんに会いたくないので、いると思われる時間を避けることにした。
- 危険を避けるため、クーデターが起こった国には入国を控えてください。
- 普段から反目しあっているBくんと言い争いになって場の雰囲気を悪くしないよう、直接的な対立は避けることにした。
「避ける」(よける)
「避ける」(よける)は、実際にある物から離れるために位置や場所を変えたり、間を隔てる物を置いたりという場合や、元のところから別に分けて離しておく・除外するといった時にも使います。
【例文】
- 強い日差しを避けるため、日傘をさして出かけた。
- 通路の水たまりを避けようと、道の端ぎりぎりを歩いた。
- 畑の周りに害獣を避ける柵を設置した。
- 条件に満たない製品を、訳あり品として避けておいた。
「避ける」の類語
距離を置く
「距離を置く」(きょりをおく)は、何らかの形で関わりのある人と、あえて一定以上疎遠にすることです。「さける」のように、人に近づかないようにする意味と似ている言い回しです。
「距離を置く」とは、相手の嫌な所が目についてしまい少しずつ付き合いをやめようとする時や、プライベートの関係と仕事上の関係を分けたい時などに使います。
【例文】
- 彼とはだんだん距離を置くようにして、関係を自然消滅させたいと思う。
- 仕事以外の場では、同僚とは距離を置くようにしている。
敬遠する
「敬遠する」(けいえんする)は、もともとは表向きだけは尊敬する態度を取りながらも、本当のところは関わりを持たないように意識していることでした。
そこから派生して、対象の物や人と関わらないように心がけることを意味するようになりました。「さける」の、物や人に近づかないことや、避けようと対処する意味とよく似ています。
【例文】
- いつも面倒なことを言い出すCさんは、多くの人から敬遠されている。
- 込み入った業務はできるだけ敬遠するようにしている。
なお、「敬遠する」は、野球用語で「わざと四球(外してボールを4回宣告される)を出す」という意味でも使います。強打者やピッチャーと相性の良いバッターに打たれる前に1塁に歩かせて、不用意に得点されないためです。
躱す
「躱す」には様々な意味がありますが、「よける」の類語としては、物などにぶつからないように、体の方向を変えたり、空いている所に寄せたりするといった意味が合います。
また、相手と真っ向からぶつからないようにする、攻撃されないようにうまく逃げて気を逸らすことを、比喩的に表す場合があります。「さける」の、嫌な人に近づかない、好ましくない事態が起きないようにするという意味に近いです。
【例文】
- 身を躱して、すんでのところで急発進してきた車から逃れた。
- 反対勢力の追及をのらりくらりと躱した。
除ける
「除ける」(の-ける)は、他の場所に移すことや、物を取り除くことです。「よける」の意味で、他の場所に分けて離しておく意味に近いですね。
【例文】
- 虫が付いてしまった米粒を除けておいた。
- 細かくなった布の切れ端を取り除けて端によせた。