「きたす」とは?意味や使い方をご紹介

雪や強風などの天候、あるいは事故や故障の影響で列車の運行に「支障をきたしている」というアナウンスを聞かれたことがある人は多いのではないでしょうか。この「きたす」とは、どういった意味でしょう。この記事では、「きたす」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「きたす」とは
  2. 「きたす」の使い方
  3. 「きたす」の類語

「きたす」とは

「きたす(来す)」とは、特定の結果や状況を招く、引き起こす、もたらす(齎すといった意味を持つ動詞です。古い書籍などでは、何かを来るようにする、来させるという意味で使われているものがあり、掲載している辞書もありますが、現在はほとんど使われることがありません。

「きたす」の使い方

物事の結果をもたらす、あるいはもたらす可能性が予測される場合に「きたす」を使います。また、その結果が現在形進行形の時にも使えます。「きたす」結果は、好ましくない、悪い結果であるときに使われることの多い表現です。

用例としては、「支障をきたす」「混乱をきたす」など、「きたす」の前に結果となる物事を置くのが一般的です。

【例文】

  • 予想外の豪雪のために高速道路が1週間以上通行止めになり、物流に影響きたしています。
  • これ以上酒を飲み続けると肝機能に重篤な障害をきたすことはわかっているが、なかなか禁酒できない。
  • 毎日遅くまで残業して仕事をこなしていた彼は過労の果て、精神に変調をきたして入院した。
  • 不況と感染症のダブルパンチで、会社の経営に破綻をきたす恐れが濃厚になってきた。
  • 覚悟はしていたが、年を取ると視力や聴力に支障をきたすだけでなく、運動能力の低下も顕著になってきた。

「きたす」の類語

「招く」

「招く(まねく)」は、合図して人を呼ぶ、招待する、招へいするという意味の動詞ですが、「きたす」の類語としては、よくない結果を引き起こすという意味があります。また、漢語的な表現では「招来(しょうらい)」も「きたす」の類語に挙げられます。

【例文】

  • このまま赤字を放置しておくと倒産の危機を招く可能性がある。
  • 高度なシステムは、単体の回路で運用すると重大な事故を招くこともあるため、必ず予備の回路を設けてある。
  • この対戦は、仮に違う戦法で攻めても負けを招来したことは間違いなかっただろう。

「陥る」

陥る(おちいる)」は、おちる、おとしいれられるといった意味のほかに、よくない状態になるという意味があり、自動詞と他動詞の差はあるものの、「きたす」の類語と言えます。

「陥」には、陥落、欠落といった熟語で使われているように、おとしいれる、あやまちといった意味があります。

【例文】

  • 災害に見舞われてもパニックに陥ることなく行動する日本人が、海外から称賛を浴びている。
  • 毎日、同じことを繰り返していると思考停止に陥ることがあるので、何か目標を持って生活することが大事だそうだ。

「誘発」

「誘発(ゆうはつ)」は、何かがきっかけ原因)になって、他の物事や事態を引き起こすことです。事前にきっかけ(原因)となることが分かっている場合は、将来の予測にも使えますし、事態を引き起こす点で「きたす」の類語と言えるでしょう。

【例文】

  • この先の交差点の日常的な渋滞は、交通事故を誘発する恐れがあると、地域住民から危惧の声が挙がっている。
  • 喫煙(受動喫煙も含む)は、様々な病気を誘発する原因になります。

「惹起」

「惹起(じゃっき)」は、よくない物事を引き起こすことです。「惹」の「若」の「口」を除いた部分は、髪の毛を振り乱した巫女(みこ)が両手を差し伸べ、ひざまずくさまの象形です。それに「口」をつけて、神の言葉を聞くことを表し、したがうという意味に転じています。

この「若」に「心」がついて、神に心が惹きつけられるという意味を持ち、転じて、人の心を惹きつける、さらに物事を引き起こすという意味が生じました。

「惹」という漢字は使用例が少なく、辞書を引いても「惹句(じゃっく:キャッチフレーズ)」や「惹惹(じゃくじゃく:軽やかなさま)」など、あまり見慣れない熟語がある程度で、「惹起」も会話に使われることは少なく、新聞や文書などで使われている言葉です。

【例文】

  • 天候不順で惹起される農作物の価格高騰は、庶民の生活を圧迫する。
  • 某国の大統領の失言が国際的な緊張を惹起したと非難されている。


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