「滞留」の意味
「滞留(たいりゅう)」の意味は以下の通りです。
- 物事の進展が滞ること。停滞(ていたい)
- 旅先などで長期間留まっていること。逗留(とうりゅう)。滞在
「滞る(とどこおる)」は、「渋滞(じゅうたい)」などのように「動きが途中で止められて足踏み状態になること」です。また、「留(とど)まる」は、「もとと同じ場所にあって動かない」という意味です。
1は、物事が何かしらの原因によって動かなくなることで、例えば、交通網の麻痺で物資が届けられない状態を「物資が滞留している」と言います。2は、同じ場所に長時間とどまることで、「滞留期間」「滞留時間」などと使われますが、一般的には「滞在」の方がよく使われるようです。
「滞留」の使い方
「滞留」には2つの意味がありますが、「物事が滞る」の意味で使う場合、主語は「物」になります。一方「人」が主語の場合は殆どが「長時間同じ場所に留まる」という意味で使われます。
【例】
- 水が滞留している→水の流れが滞っている
- ガスが滞留している→空気の流れが滞っている
- 私はアメリカに滞留している→アメリカに留まっている(滞在している)
専門用語に使われる「滞留」
「滞留」は、他にも難しい専門用語の一部として使用されることがあります。「血液滞留」や「データ滞留」などはその例です。
「血液滞留」とは、「血管が強く圧迫されたり詰まったりすることで血液の流れが悪くなること」で、鬱血(うっけつ)や心不全の原因になることもあります。
「データ滞留」とは、「広域データ交換や入出力制御などの分野において活用されるキーワードのこと」で、主に「データ処理の滞留」を意味します。
「滞留」を使った例文
意味:「物事の進展が滞る」
- 昨日降った大雨のせいで排水管から水が溢(あふれ)れ、地下にも多くの雨水が滞留している。
- 来店する客が減り、商品だけが飽和状態になってしまったため一時的に商品を滞留させる措置をとった。
- わが社はデータ滞留時間を調整する伝送装置の開発に着手している。
意味:「長時間留まること」
- 私は一念発起(いちねんほっき)して会社を退職し、新しい仕事のためスイスに滞留している。
- 漫画喫茶などはその人の滞留時間がそのまま売り上げに直結するシステムを取っている。
- たった2日間の滞留だが、その間思う存分楽しもうと思っている。
「滞留」の関連語
ここでは「滞留」と反対の意味を持つ言葉を関連語として紹介します。「物事の進展が滞る」の反対は「循環(じゅんかん)」、「長時間留まる」の反対は「出立(しゅったつ)」となります。
「循環」
「循環」の意味は、「めぐりめぐってまた元にかえり、それを繰り返すこと」です。「血液循環」の略としても使用されます。「循環」は「滞留」と対に表されることがあり、「空気の滞留⇔空気の循環」「血液の滞留⇔血液の循環」のようになります。
「循環」は、「循環バス」や「循環型社会」「悪循環」など見聞きすることが多い言葉です。「循環バス」は、コミュニティバスのように始発点と終着点が同じ路線のバスのことです。行き先表示が「新宿駅 都庁循環」の場合、「新宿駅→都庁→新宿駅」という経路を運行します。
「循環型社会」は、有限である資源を効率よく利用しながら再生産を行うことで持続可能な循環を構築した社会のことです。一時期を境にニュースや新聞で大きく取り上げられるようになりました。
「出立」
「出立」は「出発」と同義で、「(通勤や通学などの普段の外出とは異なる)出発。旅立ち。門出」という意味です。旅先に留まる「滞留」とは反対の意味になります。また「出立」は「いでたち」と読むことがあり、この場合は「身支度。服装」のことを意味しています。
「出立」は、「しゅったつ」と読みますが、これは「重箱読み」と言われる読み方です。変則的な読み方とされる「音読み×訓読み」の形のことです。他にも「王様(おうさま)」や「台所(だいどころ)」なども「重箱読み」です。
「明日の7時に宿を出立する」のように時間や場所を絡めて使われるのですが、現代においては「出立」よりも「出発」の方を頻繁(ひんぱん)に使う傾向があります。「出立」は、声に出すよりも書き言葉などに使われることが多いです。