「偉丈夫」とは?意味や使い方を語源を含めてご紹介

「偉丈夫」という言葉をご存じでしょうか。主に文語で使われる言葉なので、聞いたこともない人も多いかもしれません。逆に、歴史や文学が好きな方にはお馴染みの言葉ですね。この記事では、「偉丈夫」の意味や使い方を語源を含めて紹介します。

目次

  1. 「偉丈夫」の意味
  2. 「偉丈夫」の語源
  3. 「偉丈夫」の使い方
  4. 「偉丈夫」の類語

「偉丈夫」の意味

「偉丈夫」は「いじょうふ」と読みます。「からだが大きくてたくましい男。また、人格のすぐれている男。」という意味を持つ言葉です。

「偉丈夫」の語源

「偉丈夫」は中国から伝わった言葉です。宋の歴史を記した歴史書、『宋史』にもこの言葉が見られます。

言葉の意味をより深く理解するために、「偉」という漢字、「丈夫」という言葉の意味に分解して確認しておきましょう。

「偉」とは

「偉」という漢字には下の2つの意味があります。

  1. 優れている。
  2. 大きくて立派である。

1の意味で「偉」の文字が使われる言葉には「偉人」「偉功」などがあります。2の意味で使われる言葉には「偉大」などがあり、「偉丈夫」もこちらの用法です。

「丈夫」とは

「丈夫」という熟語には「じょうぶ」、「じょうふ」、「ますらお」などの読み方があり、読み方によって意味が少しずつ異なります。

「じょうぶ」と読む場合の「丈夫」には、「健康であること。しっかりしていて壊れにくいこと。」という意味がありますが、「じょうふ、ますらお」と読む場合の「丈夫」は、「立派な男子」という意味の言葉です。

「丈」とは長さの単位で、1丈は約3メートルとされています。中国の周で用いられた制度では1丈を約1.7メートルとし、成人男子の身長にあたるとしたことから、一人前の男性のことを「丈夫」と呼びました。

以上のような成り立ちで、「偉丈夫」という言葉は、「体格、人格ともに優れた立派な男性」を指すようになったのです。

「偉丈夫」の使い方

日常的に口語で使われる言葉ではありませんが、歴史書や小説など文語として使われます。体格など外見だけでなく、人格も優れている男性に対して使われる言葉です。

文学作品中の「偉丈夫」

昭和の時代に活躍した小説家、太宰治の作品にも偉丈夫が登場します。

「やさ男どころか、或る神学者の説に依ると、筋骨たくましく堂々たる偉丈夫だったそうではないか。」
ー太宰治『花吹雪』ー
 
「六尺ちかい偉丈夫も、ほとんど泣かんばかりである。」
ー太宰治『散華』ー

また、『暗殺の年輪(ねんりん)』で直木賞を受賞した小説家、藤沢周平の短編小説のタイトルにもなっています。

「偉丈夫」の類語

美丈夫(びじょうふ、びじょうぶ)

「美丈夫」とは、「美しい若者。美しく立派な男子。」という意味を持ちます。「偉丈夫」が体格のみではなく人格の素晴らしさも兼ね合わせた男性に使われる言葉であるのに対し、「美丈夫」は外見の美しさを強調する言葉です。

大丈夫(だいじょうふ、だいじょうぶ)

「大丈夫」という言葉は、「りっぱな男子」という意味を持ちます。「大丈夫」も「偉丈夫」のように、接頭語の「大」が「丈夫」を強調した言葉です。

中国の歴史書『史記』では、劉邦(りゅうほう)が秦の皇帝を目にした際、立派な皇帝を讃えて「嗟乎、大丈夫当如此也。(ああ、一人前の男たるもの、まさにこのようであるべきだ。)」と言ったとされています。

ますらお

「ますらお」とは、「雄々しく強い男。立派な男。」という意味の古語です。漢字では「益荒男」とも「丈夫」とも書きます。万葉集では武人や兵士を表す言葉としても使用される言葉です。


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