「怯まない」の意味
「怯まない(ひるまない)」は、「怯む」という動詞に「ない」という打ち消しの助動詞がついている言葉です。ですから、「怯む」の意味を打ち消したものが「怯まない」の意味となります。
「怯む」には以下のような意味があります。
- 麻痺する。しびれる。なえる。
- 傷などを受けて、気力がくじける。
- 相手の勢いに押されたり恐れを感じることで気持ちが弱る。身がすくむ。
これらの意味を打ち消すことから、「怯まない」には、何事が起こっても動揺することなく落ち着いている・気持ちがくじけることがなく精神的に強いという意味があります。
「怯まない」の使い方
「怯む」には「麻痺する・しびれる・なえる」といった意味がありますが、「怯まない」はこのような意味では用いられません。「怯まない」は、困難なことにぶつかっても動揺することなく対処するさま・精神的な強さを表すときに使います。
例文
- 彼はどんなに権威のある人物を前にしても、決して怯まない。
- 彼女は難しい問題に直面しても絶対に怯まず、むしろ楽しんでいるように見える。
- 彼らの何事にも怯まない心は、私も見習いたいものだ。
「怯まない」の類語
「怯まない」のように精神的な強さを表す言葉には、次のような言葉が挙げられます。
打たれ強い
「打たれ強い」は、つらい仕打ちや攻撃にも耐える・逆境にあってもくじけることがないという意味です。精神的な強さだけでなく、肉体的な強さを表すこともあります。
【例文】
- 彼はどんなに殴られても倒れない、打たれ強いボクサーとして有名だ。
- 彼女の打たれ強い生き様は、多くの人々に感動を与えた。
肝が据わる
「肝が据わる(きもがすわる)」には、落ち着いていてわずかなことでは動揺しない・度胸があるという意味があります。「据わる」とはめったなことでは動じなくなること。よって、「肝が座る」は誤用ですから、変換ミスなどには注意が必要です。
また、「肝が据わる」と似ている表現に「肝を据える」という言葉があります。こちらは覚悟を決めるという意味ですから、混同しないようにしましょう。
【例文】
- 歴史上の偉人には肝が据わった人物が多い。
- 彼は気が弱そうな見かけとは異なり、肝が据わっている。
粘り強い
「粘り強い」には、物質の粘り気が強いという意味のほかに、耐え忍ぶ力が強い・諦めずに最後までやり抜くという意味があります。
【例文】
- あの粘り強い性格は、彼が成功した要因の一つといえるだろう。
- 粘り強く物事に取り組むところは、誰もが認める彼女の才能だ。
しぶとい
「しぶとい」は、困難にあってもへこたれることなく粘り続ける・強情で臆するところがないという意味です。もともとは精神的な事柄に対して使う言葉でしたが、「しぶとい汚れ」などの用法は、物理的な現象を比喩的に表したものでしょう。
【例文】
- 初出場の大会だったが、優勝候補にもしぶとく食い下がり優勝を手にした。
- あんなにしぶとい男を私はこれまで見たことがない。
「怯まない」に関連することわざ
七転び八起き
「七転び八起き」は「七転八起(しちてんはっき)」とも言いますね。七回転んでも八回起き上がることから、何度失敗してもめげることなく、そのたびに勇気を奮い起こして立ち上がることを表すことわざです。転じて、人生の浮き沈みが激しいことのたとえとでもあります。
【例文】
- これは私にとって大きなチャレンジですが、七転び八起きの精神で挑もうと思います。
- 私の祖父の口癖は「人生は七転び八起き」だった。その口癖のとおり、すべてを柔軟に受け入れているような生き様だった。
転んでもただでは起きない
「転んでもただでは起きない」は、たとえ失敗したとしても、何かしらの利益を得ようとすることを意味することわざです。そのため、強欲や抜け目がないことのたとえとしても用いられますが、根性があることのたとえとしても使われます。
どちらにしても、失敗に動揺せずに落ち着いて対処し、その失敗から何かを得ることのできる精神力の強さを表す言葉です。
【例文】
- 今回のプロジェクトは失敗だったかもしれないが、彼は転んでもただでは起きない男だ。
- 彼女は転んでもただでは起きない人だから、これぐらいで怯むことはないだろう。