「気づく」とは
「気づく」とは、「意識」によるこころの働きや、からだの状態を表す言葉で、意味は以下の二つです。「気付く」と表記することもあります。
- 今まで気にかけていなかったことを何かの拍子に意識すること。
- 失っていた意識を取り戻すこと。気が付くこと。
「意識」は、様々な学問分野で定義づけがされています。その中で、心理学は、自分の感ずる「感覚」「感情」「観念」に分けるとする考え方があります。
精神分析学では、人間の心を意識・前意識・無意識の三つに分けた上で、自分が現在認識している内容を「意識」と呼んでいますし、「記憶」との関係も指摘されています。また、医学では、患者の意識の状態を意識レベルという数値で評価しています。
「気づく」の使い方
ここでは、心理学や精神分析学、医学の定義なども踏まえて、二つの意味に分けて「気づく」の使い方をご紹介します。
「こころの働き」
「気づく」は、普段何気なく見過ごしていた物事をふと思い出したりする時、意識(または、注意)していたのに忘れたり、見落としたりしていて後で思い出す時、人や動物などの気配を感じた時などに使います。
このようなことは、普段その物事を意識しているか、いないかに関わらず、「感覚」「感情」「観念」「記憶」といった心の働きによるところが大きいのではないでしょうか。
【例文】
「からだの状態」
病気や怪我、薬物などの肉体的、または精神的なショックによる意識レベルの低下や喪失状態から立ち直るような場合や、飲酒後の覚醒などで、「気づく」が使われます。
【例文】
- 夕べ飲みすぎて、気づいたら服を着たまま自宅のベッドで寝ていた。
- 意識を失って倒れた彼女が気づくと救急車で運ばれているところだった。
- ショックで放心状態の彼女は、そばに私がいることに気づく様子がなかった。
- 手術の麻酔が効きすぎたのか、気づくまでにずいぶん時間がかかったようだ。
「気づく」の類語
「感づく」
「感づく(かんづく)」は、「感付く、勘づく、勘付く」とも表記し、感覚的に物事を感じること、勘が働いて気がつくことで、「気づく」の1の意味の類語です。
ただし、「感づく」は、その時やその場所の雰囲気などを敏感に感じ取って物事に気づくことですから、「気づく」のように意識していたことを忘れて思い出すという使い方はあまりしません。
もっとも、事前に予兆のような気配があって、それを前提として気づく場合には「感づく」を使うこともあります。
【例文】
- 最近、僕を見る妻の目に疑いの色が見えるので、もしかしたら例のことに感づいているのかもしれない。
- かくれんぼで、私がここに隠れていることにA君は感づく気配がないみたい。
「さとる」
「さとる」には、以下のような意味がありますが、1の意味が「気づく」の類語で、「感づく」に近い言葉です。
漢字表記では、「悟る」と「覚る」があります。「悟」と「覚」は、どちらも、はっと思いあたる、はっと知覚するという意味がありますから、どちらの表記でも使えます。など、「悟る」は、仏教的な意味合いの強い言葉です。
【例文】
- もし、あの時、彼の助言がなかったら、僕は大きな過ちを悟ることはなかっただろう。
- 二人は、関係が修復できないほどの深い溝ができていたことをいずれ悟る時が来るだろう。