「徴収」の意味
「徴収」には、大きく2つの意味があります。2つの意味の共通点は「お金を強制的に集める」ことです。
- 国家または、公共団体が行政目的を達成するため、国民から租税・手数料や現品を強制的にとりたてること。
- 一般に、金銭などを集めること。
「徴収」の意味1:税などを強制的にとりたてること
1の意味でとりたてられるお金に相当するのは、所得税や住民税、国民年金保険料(厚生年金保険料)、国民健康保険料(各種団体の健康保険料)などです。
強制的という言葉には、無理やりというイメージがありますが、これらのお金を集めることは、法律や規則などで義務として定められています。
かつては税として米を納めていました。この場合は「お上(おかみ)が米を徴収する」と言います。このようなケースがあるので、上の説明にはお金だけでなく現品も含まれていますが、現代においてはお金だけと考えて良いでしょう。
「徴収」の意味2:金銭などを集めること
2は行政目的ではなく、身近で一般的な場合を指します。例えば、お茶会や習い事などの「会費」のように、楽しんだり、学んだりする場のためのお金を集めることです。
「徴収」の使い方
「徴収」は「○○(人物)から△△(用途など)のお金を徴収する」というかたちでよく用いられます。また、「源泉徴収」(支払いの度に給与から天引きされる税金)は、給与を受け取っている人にとってはおなじみの言葉ですね。
【例文】
- 10月の修学旅行に関わる旅行費は、すべて入学時に徴収済みですのでご安心ください。
- 新年度を迎えるにあたり、自治会の年会費を徴収させて頂きますので、よろしくお願いいたします。
- 練習の質向上のために新しいマシンを導入することにしたので、部員全員から代金を徴収させてもらう。
- 今年の夏まつりを開催するためには、住民から費用を徴収する必要がありそうだ。
目上に「徴収」は使えるか?
「徴収」は、強制的なニュアンスを含むため、場面にあった使い分けが必要です。例えば、上司から職場の忘年会の会費を集めたいときは、「徴収」ではなく「集金」や「ご負担」と言い換えた方が良いでしょう。
「徴収」と「徴集」
「徴集」の意味と使い方
「徴収」の同音異義語に「徴集」があります。こちらも2つの意味があります。
- 召し集めること。強制的に人や物を集めること
- 兵役法で、壮丁(血気盛んな男子のこと)を選抜して現役兵または補充兵とすること
【例文】
- 今のままでは文化祭の準備が終わらないので、クラス全員に徴集をかけた。
- 私の学校では、勉学に集中できる環境作りの一環として、授業中はスマホを徴集している。
「徴収」と「徴集」の違い
「徴収」と「徴集」、どちらも強制的に集めるという部分は同じです。しかし、集める対象がお金のときは「徴収」、人や物のときは「徴集」と使い分けます。
「徴収」の類語
「集金」
「集金」の意味は、「金銭を集めること。集めた金銭」です。「集めなければいけないお金」という点では「徴収」と似ていますが、強制的なニュアンスは和らぎます。
例えば、新聞代を受け取りに家にやってくる人は「新聞代の集金です」と言います。新聞代は受けたサービスへの対価なので、支払う必要があるお金です。その場合であっても、「集金」という言葉を使うことで支払う人に配慮しているのです。
【例文】
- 今月の給食代を集金したいので、1人ずつ先生のところへ持ってきてください。
- 集金袋を腰にぶら下げた郵便局員が、颯爽と横を通り過ぎていった。
「回収」
「回収」は大きく2つの意味があります。
- いったん手元から離れたものを、集めてもとのところに戻すこと
- ある目的のもとに取り集めること
「回収」は、「徴収」のようにお金に対しても用いられますが、ほかのものに対しても使えます。例えば、「答案を回収する」の場合は1の意味、「廃品回収」は2の意味です。
一般的に「回収」は強制的なニュアンスは和らぎます。しかし、場合によっては、「債権回収」などの法的な強制力を持つ言葉として用いられます。
【例文】
- 夏休み中に出していた宿題を回収しますので、後ろの席から順に前に送ってください。
- 当店で販売した商品の中に不良品があったと連絡を受けたため、後日回収に向かった。
- 先月お金を貸した友人が行方不明になり、貸したお金を回収できないでいる。