「好事家」の意味とは?
「好事家」(こうずか)の意味は以下の2つです。
- 物好きな人
- 風流な物事を好む人
「好事」とは、他と変わった物事を好むということ、「家」は前の言葉を受けて、そのような状態の人やそのような傾向や性質を持つ人をいいます。
「好事家」の使い方と例文
「好事家」は、人の趣味や嗜好を表す時に使われる言葉ですが、2つの意味から両極端な印象を受けるのではないでしょうか。どちらの意味が当てはまるかは、前後の文脈を見て判断する必要がありますね。
1.物好きな人
例えば、「好事」を物好きという意味にとらえるのであれば、「好事家」で他の人とは変わった価値観を持ち、多くの人が無関心な物事に強い好奇心を持つ人であるということを表せます。
ただし、相手の人となりについて述べる際に「好事家」というと、「変わったことを好む人」と、変人扱いするようなネガティブな印象を相手が感じる恐れがあります。
【例文】
- 古地図を見て地形を観察していると、好事家扱いされることがある。
- デザインが気に入ってお菓子の包み紙を収集しているが、人からは好事家のように思えるらしい。
2.風流な物事を好む人
「好事」の「他の人とは違った好み」を高尚な趣味や、文化に精通しているといった意味に当てはめる場合、「好事家」という言葉により、風雅で趣があることを好む人を表す場合もあります。
例えば、日本古来の文化や風習を好む人、古典的な芸術作品に興味を持ち、研究や鑑賞に打ち込む人などが挙げられますね。
【例文】
- Bさんは短歌に精通した好事家だよ。
- C先生は刀剣の収集や研究に力を注ぎ、目利きと言われるようになった好事家です。
「好事家」誤読に注意!
「好事」には「こうず」「こうじ」とそれぞれの違う読み方があります。ただし、「好事家」を「こうじか」とは読まないので注意が必要です。
「好事(こうじ)」と読む場合の使い方
「好事」を「こうじ」と読む場合は、以下のような意味です。
- めでたいこと・喜ばしいこと
- 善行(良い行いをすること)
【「こうじ」と読んだ場合の使用例】
- 好事魔多し(こうじまおおし)…良いことがあった際には邪魔が入りやすい
- 好事門を出でず悪事千里を行く(こうじもんをいでずあくじせんりをいく)…善い行いをした場合はなかなか世に知られないが、悪い行いをした場合には千里先にいる人にまで知られている。(悪い行いの方が人々の噂に上りやすい)
「好事家」の類語:ディレッタント
「ディレッタント」(英語:dilettante)とは、専門の研究者ではなくても芸術や学問を趣味として好む人をいいます。「好事家」に近い意味をもった言葉です。
ただし、英語などではディレッタントをしばしば嫌味で使う場合もあるとのこと。中途半端な知識しか持っていないのに専門家ぶって語る人といったことを表現する場合もあります。
【例文】
- ヴァン・ダイン作の推理小説の探偵「ファイロ・ヴァンス」はいわゆるディレッタントで、あらゆる芸術や学問に詳しくウンチクを語っている。
- she is a dilettante.(彼女は聞きかじった知識で通ぶっている。)