「夜」とは?
「夜」(よる)とは、「日没から日の出までの間、太陽が沈んでいる間」を指す言葉です。「昼」の反対語であり、1日は「昼」と「夜」の大きな2つの区分に分けることができます。
非常に身近な自然現象であり、人間の日常生活にも密接に関係している「夜」ですが、いくつかの見地からあらためて「夜」の姿を見つめてみましょう。
天文学的な「夜」
天文学的にいえば、地球は「自転」によって24時間かけて1回転していますから、1日の半分、およそ12時間は太陽の光が遮られる「夜」が訪れます。
「およそ」と言ったのは、地球は太陽に対して少し傾いた状態(地軸の傾き:23.4度)で公転しており、季節によって夜の時間が異なるからです。日本の場合、冬至の日に「夜」の時間がもっとも長くなります。
神話的な「夜」
天文学ならびに科学が未発達であった頃、「夜」は、ほとんどの神話において創造主によって創造された「もの」でした。太陽と地球の相互関係による現象ではなく、大地や空や月と同じように、「そこにあるもの」だったわけですね。
キリスト教の聖書によれば、神が天と地を創ったとき、最初にあったのは「混沌と闇」でした。そこで神が「光あれ」と言ったところに光が生まれ、神は光と闇を分け、それぞれを昼と夜と呼んだとされています。(『創世記』第一章)
文化的な「夜」
文明の光がなかった頃、闇に包まれる「夜」は休息や睡眠の時間でした。照明や社会的機能の発達に従い、現代では夜でも活動する人間は増えてきましたが、それでも社会一般には「夜」は非活動的な時間とされています。
こうした側面から、「夜」は文化的には秘密や神秘をまとった領域として考えられる向きもあります。文学など創作物の世界では、「夜」が社会的な秘め事や思考の混迷を象徴する時間として描かれることも珍しくありません。
「夜」の使い方
「夜」は日常になじんでいる言葉ということもあり、使い方に苦労することはないでしょう。ただし、言説によっては具体性を欠くことがありますので、その点だけ注意すべきかもしれません。
例えば、「夜に家に来て」と言われても具体的に何時なのかわかりませんし、「日没」の前後や「日の出」の前後などが、「夜付近」として「夜」と呼ばれることがあります。
さらには、職場の勤務時間を「前半/後半」と分けて考えるような場合、「昼」の対称語として、実際の日没時刻などに関係なく「昼番」「夜番」といった用語が使用される場合もあります。
例文
- 小学生の頃、夜にこっそり家を出て友達と会っていたら、親父に叱られたことがあるよ。
- あの夏祭りの夜のことは、大人になってからも忘れられない。
- 私は夜の仕事をしているので、いつも太陽が昇る頃に眠りにつきます。
「夜」の類語
「夜」の字を使うもの
「夜」の類語のうち、「夜」という字を使うものの中には以下のような言葉があります。指し示す時間に少々ばらつきがありますのでご注意ください。
- 夜中(やちゅう、よなか)…夜の中ほど。夜の真っ盛り。
- 夜間(やかん)…夜の間じゅう。
- 一夜(いちや、ひとよ)…ある夜。
- 小夜(さよ)…夜。「小」は接頭辞で特に意味はない。
- 真夜中(まよなか)…夜の最も更(ふ)けた時。
- 夜夜中(よるよなか)…「真夜中」と同意。
- 夜半(やはん、よわ)…夜の中ごろ。
- 深夜(しんや)…「真夜中」と同意。
- 夜更け(よふけ)…「真夜中」と同意。
「宵」
「宵」(よい)は、「日が暮れてからしばらくの間」が主な意味ですが、「しばらく」という時間感覚にはかなりの幅があるため、「夜の中ほど(真夜中)までの時間」を含むこともあります。
「日が暮れたあとの、短い間」を指したい場合には、「宵の口」(よいのくち:夜になったばかりの間)という言葉を用いましょう。
【例文】:夏の宵は、ベランダで涼むのが気持ちよい。
「晩」
「晩」(ばん)は、「宵」と似ていて、「日没のあと、人がまだ寝ずにいるような夜の初めのほう」のことですが、「一晩寝て考える」のように、「夜全体」を指すこともあります。
「夜」はある程度客観的に日没から日の出までを表す一方、「宵」や「晩」は人間の生活リズムに焦点を置いた「日没後、寝るまでの夜の時間」を表すと理解すればよいでしょう。
【例文】:昨日の晩は、ずっと机にかじりついて勉強をしていた。