「就業」とは
「就業(しゅうぎょう)」には、二つの意味があります。
- その日の仕事を始めること、または、その日の業務に従事すること
- 職業についていること、または、職業につくこと
「就」は、音読みで「シュウ。ジュ」、訓読みで「つーく。つ-ける。な-る。な-す」と読みます。意味は、①「つく。つける。仕事や任務につく」、 ②「なる。なす。なしとげる」。③「~について。~に関して」です。
「就」は、人が何かの役割をもって事に当たっていたり、当たることを表す言葉に多く使われます。また「業」には、仕事やつとめといった意味があります。
「就業」の使い方
1.その日の仕事を始めること
企業などに雇用されている労働者は、使用者が定めた労働時間に基づいて仕事をしますが、自営の人などはそのような定めはありません。しかし、どちらの場合も、その日の仕事を始めることや、労働時間の間仕事をしていることを就業すると言います。
【例文】
- うちの会社は、毎朝8時から就業することになっている。
- 在宅ワーカーの私は、一日7時間の就業が義務づけられているが、就業開始時間は自由に決められる。
2.職業についていること(つくこと)
この意味での「就業」は、一定の職業に従事していることや持っていることを表しているので、「失業」の対義語にあたります。また、雇用などの労働問題は行政や法律にかかわることも多く、堅い表現の中で用いる向きがあります。
【例文】
- 働き方改革によって、育児や介護と仕事の両立が可能な就業環境の整備を早く実現してほしい。
- うちの会社は、学生がインターンシップで就業体験するプログラムを活かして、優秀な人材を確保している。
「就業」に関する言葉
「就業」に関する、よく話題になる言葉を簡単にご紹介します。これらは、労働基準法をはじめとする法律や規則、国の労働政策、あるいは労使間の問題などでよく使われるものです。
【就業時間】
労働者が仕事をしている時間のことです。労働基準法では、労働時間と規定しています。
【就業規則】
労働条件や就業に関する約束事を定めたもので、一定人数以上の労働者を雇用している使用者にはこの規則を定めることが義務付けられています。
【就業人口】
職業を持って収入のある人口のことです。場合によっては休業者を含めて言うこともあります。
【就業構造】
就業人口を、産業別・業種別・年齢別・地域別・企業規模別などに分類して、様々な角度から見た構成比率などによって就業状況の構造を表したものです。
「就業」の類語
「就職」
「就職(しゅうしょく)」は、職業に就(つ)くことです。会社に就職する、就職口を探す、就職活動(就活)をするなどの表現はよく使いますね。
【例文】
- 第一志望の旅行会社に就職することができた。
- 10社以上の面接を受けたが、まだ内定が一つもない。就職戦線は今年もきびしい。
「就労」
「就労(しゅうろう)」は、仕事にとりかかることです。しかし、就労支援のように仕事に就く(就職する)という意味にも使うことがあります。
【例文】
- 派遣労働者の兄は、派遣先の指示を受けて就労しています。
- 外国で就労しようと思ったら、就労ビザを取得しないといけない。
- 海外からの不法就労者の問題が大きくニュースで報道された。
「就任」
「就任(しゅうにん)」は、役職や地位に就くことです。大手企業の社長就任あいさつとか政治家の大臣就任祝賀パーティなどは、メディアでもよく取り上げられていますね。
【例文】
- 日本画家で、文化勲章を受章したA画伯が、新しくできる美術館の館長に就任した。
- Bさんの課長就任祝いで、三ツ星レストランを予約することにした。
「就役」
「就役(しゅうえき)」は、聞きなれない言葉ですが、職務に就くことです。また苦役(くえき:強制的に仕事や役割をさせられること)に就くことや、新しく作られた軍艦が任務に就くことも就役と言います。
しかし、一般企業などの役員に就くことを就役と言うことはほとんどなく、軍隊などで一定の地位に就くことに使われれる例がある程度です。
【例文】
- 国連平和維持軍の兵士として、紛争当事国での任務に就役することになった。
- 最新装備の自衛艦が、初めての洋上任務に就役すべく横須賀港を出港した。