「陽気」とは
「陽気」と聞くと、何となくウキウキする感じを覚える人と、反対の「陰気(いんき)」という言葉を連想する人がいるのではないでしょうか。「陽気」と「陰気」を一言で言うと「明るい気持ちや雰囲気」と「暗い気持ちや雰囲気」、と言えるでしょう。
「陽気」と「陰気」は対義語の関係にあり、中国の易学(えきがく)や陰陽道(おんみょうどう)では、陽の気・陰の気として切っても切れない関係があります。以下では、まず「陽気」と「陰気」の意味を対比して見ていきます。
「陽気」と「陰気」の意味
「陽気」や「陰気」は、主に人の性質や雰囲気を表す言葉ですが、以下のような意味を持っています。
【陽気】
- 気候や季節のこと:春のような陽気
- にぎやかで明るいこと。気分がうきうきすること:陽気な人柄
- (易学において)陰の気に対する陽の気。万物が生まれ、活動を始めようとする気。
【陰気】
- 天気や気分、雰囲気などが、暗く晴れやかでなく気持ちが沈むような様子。暗くてじめじめした様子:陰気な性格。陰気な建物。
- (易学において)陽の気に対する陰の気。万物が衰えて、消滅しようとする気。
「陽気」と「陰気」の最たる違いは、天気や天候そのものを表す意味のあるなしです。春のような陽気とは言っても、冬のような陰気とは言いません。もっとも、陰気な冬空(1の意味)という表現はできます。
「陽気」と「陰気」使い方
「陽気」も「陰気」も前や後に人や物事の状態・雰囲気を表す言葉を付け加えて使うことが一般的です。例文②では、「陽気」と「陰気」を対比させています。
例文①「天気・天候」
- 冬の間は部屋に籠っていたが、春の陽気に誘われて川べりを散歩した。
- 初冬の小春日和の陽気の中、近くの森で佇(たたず)み、木漏れ日を浴びていた。
例文②「心や気分の浮き沈み・雰囲気など」
- 保育園児たちが、園庭で陽気に楽しそうに遊んでいる。
- 僕は、引っ込み思案で陰気な子供だった。
- 彼女は、美人で陽気な性格なのでみんなから好かれている。
- 僕は、梅雨時のじめじめした陰気な雰囲気が嫌いだ。
- 街角から陽気な音楽が聞こえてきた。
- 森を歩いていると、どこからともなく、陰気で悲しそうな動物の鳴き声が聞こえる。
「陽気」の類語
「明るい」
「陽気」と聞くとすぐに思い浮かぶ言葉が「明るい」ではないでしょうか。明るい笑顔、明るい声、明るい性格、明るい雰囲気などたくさんありますね。「明るい」は多義語ですが、「陽気」の類語としては、ほがらか、元気、楽しそうといった意味で使います。
【例文】
- 取引先に電話を掛けたら、明るい声でとても感じのいい女性が電話に出た。
- 彼女がそこにいるだけで、なんだか明るい雰囲気になるね。
「快活」
「快活(かいかつ)」は、ほがらかでハキハキしていて元気なことです。「陽気」も「快活」も、積極的で前向きな印象を人に与えるイメージがあります。
【例文】
- イケメンとは言えないが、いつも元気いっぱいで快活な性格の彼は、私の中で好感度ナンバーワンだ。
- 明るく快活な少年は、成長とともに無口で物静かな青年になった。
「溌剌」
「溌剌(はつらつ)」は、元気で生き生きしていること、明るく元気なことです。「溌剌」も積極的で前向きな印象を与えます。
【例文】
- 小学校の学芸会で、子供たちが溌溂と歌を歌ったり、劇を演じたりしていた。
- 今度の新入社員はみんな溌溂としていて、頼もしい限りだ。
「陽気」の対義語:「陰気」の類語
「陰気臭い」
「陰気臭い(いんきくさい)」は、陰気な感じがするということです。「陰気」を強調した言い方ですね。
【例文】
- 大きくて立派な屋敷だけど、なんか陰気臭い感じがするから、住むのは嫌だな。
- いつまでも陰気臭い顔してないで、楽しくやろうよ。
「暗い」
「暗い」も多義語ですが、晴れ晴れした気分になれない、気持ちが沈んでいるといった意味です。「明るい」の反対というのが一番わかりやすいでしょうか。「ネクラ」などと言う言葉も流行ったことがあります。
【例文】
- 僕の職場はいつも暗い雰囲気が漂っていて、誰もしゃべらない。
- 自分の暗い性格は、どうしたら変えられるのだろうか。