「減算歴車」とは?
「減算歴車」(げんさんれきしゃ・げんざんれきしゃ)とは、走行距離計(オドメーター)によって示される累計の走行距離が、何らかの理由によって減らされている中古のバイクや車のことです。「走行距離減算車」ともいいます。
「減算」とは「引き算」のことですから、(メーターが示す走行距離の数値が)引かれた経歴がある車のことを「減算歴車」と呼ぶわけですね。
「減算歴車」は、特に中古バイクの売買において、メーターの数値が「実走距離(実際に走行した距離)」と等しくないことから問題視されることもあります。しかし、理由がはっきりしていれば問題ない場合もあります(詳しくは後述します)。
「減算歴車」の使い方
「減算歴車」は中古車・中古バイクの業界で用いる言葉ですが、多くは中古バイクの累計走行距離について使われています。その理由は、主に以下の二つです。
一つは、バイクのほうが四輪車よりもカスタムユーザーが多い傾向があり、各種部品などの交換・メンテナンスに従って走行メーターも交換しているケースが多いという理由です。
もう一つは、年式が古いバイクは累計走行距離が「9999km」までしか記録できず、メーターが一回り(以上)して「0km」に戻ってしまうために、現状のメーターの数値が実走距離より減算されている場合がありえるという理由によります。
例文
- 中古でバイクを買おうとしたら、商品説明に「減算歴車」という表示があったんだけど、買わないほうがいいのかな?
- 昔から欲しかった旧車を買った。減算歴車だから、カスタムや年式の割に安く済ませることができて満足!
- 減算歴車でも、メーターを減算した理由がはっきりしているなら僕は気にしない。走行距離よりどれだけメンテナンスされているかが大事だよ。
「減算歴車」の何が問題?
「累計走行距離」はコンディションの代表的指標
「減算歴車」はどういった点が問題なのでしょうか?まず前提として「累計の走行距離」が、その車が「どれだけ使用されたか」を示す代表的な指標であることです。
劣化や摩耗のない機械製品は存在しません。当然、走れば走るほど車の各機械部品は劣化していき、壊れるまでいかなくとも性能が低下し、性能が低下しないまでも機械としての寿命は確実に削られていきます。
そのため、中古車を買うにあたっては「累計走行距離」がその製品のコンディションを判断する重要な基準のひとつとなるわけです。累計走行距離が100キロの車と1万キロの車では、前者のほうが「価値がある」と判断されます(他の条件はここでは考慮しません)。
「累計走行距離」が減算されているとどうなる?
もしも、製品のコンディションを判断するための「累計走行距離」が表示通りでないとしたら、どうなるでしょうか?当然、買い手としては「実際にどれだけ走っているのかわからない」という点が不安でしょう。
ただ、例えば正規の手段でメーターを交換している場合などは、交換前のメーター値が公的に記録されているため、「実走距離」を知ることは何ら難しくありません。また、そもそもメーターの記録値に限界があるなど、仕様上仕方ない場合もあります。
「減算歴車」は意図的にせよそうでないにせよ、「走行距離メーターの減算が明らかである車」と言うだけであり、それ自体が問題というわけでも、違法というわけでもありません。
「減算された理由」に注意
「減算歴車」を考えるにあたって重要なのは、メーターが減算された理由です。上記に示した理由の場合、十分に製品知識があれば「減算歴車でも問題ない」と判断できる場合もあるでしょう。
しかし、逆に言えば一般的な知識では判断が難しい場合もあります。例えばメーターが交換された理由は「事故車を修理したから」や「違法に改造したから」かもしれませんし、利己的な売り手は、そのような「理由」を偽装しようとするかもしれません。
総じて、一般ユーザー(特に初心者)にとっては「減算歴車でないに越したことはない」のであり、こうした理由から「減算歴車」は相場より多少安くなっている場合がほとんどです。