「不世出」とは?意味や使い方をご紹介

「不世出の才能の持ち主」というと、どんな人イメージしますか?天賦の才の持ち主でしょうか、それとも不遇な天才?まさか引きこもりの天才ではありませんよね?今回は何かと誤解されやすい「不世出」の意味や使い方、由来などを説明します。

目次

  1. 「不世出」の読み方
  2. 「不世出」の意味
  3. 「不世出」の使い方
  4. 「不世出」の由来
  5. 「不世出」の類語

「不世出」の読み方

「不世出」の読み方は「ふせいしゅつ」です。「ふせしゅつ」や「ふよで」ではありません。アクセントは「ふいしゅつ」とつけます。

「不世出」の意味

滅多に表れない天才

「不世出」とは本来めったに世に出てこないくらい優れた人のことです。10年に1度や、近年まれにみるといったレベルではなく、空前絶後の天才です。

歴史上の関係者を集めてきても、同等以上の能力の持ち主がほとんどいないくらい優れている、という意味ですね。

「不世出」は才能や能力のある人を評するために使う言葉です。やや芸術分野で使われることが多いのですが、学者や政治家など幅広い分野で用いられます。

世間に評価されない天才

「不世出」にはもう一つ、辞書に載っていない意味で使われることがあります。それは、世間からまるで認められることのなかった天才です。この意味で使われることが多く、むしろこれが本来の意味と思っている人も多いようですね。

世間から認められなかった天才とは、言い換えれば生前に評価されず死後にその功績が認められたということです。専門家には認められていたけれど一般人には理解されなかったということではありません。

有名な例は、ヴィンセント・ファン・ゴッホです。今でこそ優れた画家として誰でも知っていますが、生前に売れた絵はたったの1枚。報われなかった天才としてよく引き合いに出されます。

「不世出」の使い方

  • 彼らが反映した理由は、優れた知識や技術ではなく、一人の不世出のリーダーによるものであった。
  • パッとしないおっさんだと思ったその人物は、巷では不世出と折り紙がつけられていた名人だったそうだ。
  • 優れた作品を生み出しながらも、貧困の中で生涯を閉じた不世出の天才。

「不世出」の由来

「不世出」の由来は古代中国の軍人、韓信(かんしん)だとされています。韓信は劉邦(りゅうほう)の部下として関羽(かんう)を倒すために貢献した将軍です。背水の陣を行った人、と言えばわかりやすいでしょうか。

さてこの韓信、貧しい生まれでしたがその才能を見抜いた人々によって登用され、数多くの軍功を挙げます。その才能は他に並ぶものがいない、「国士無双」のものであるとまで言われています。その韓信の才能をたたえた言葉の一つが「不世出」です。

司馬遷の『史記』によると、「功は天下に二つとなく、略は世に出でざる者」と書かれています。この「世に出でざる」が「不世出」の由来となったようです。

「不世出」の類語

希代

「希代(きたい)」は世にもまれ、極めてまれなことという意味です。文章語なので会話文では使いません。称号や二つ名として「希代の大怪盗」や「希代の英雄」のように「希代の~」という形で目にすることが多いでしょう。

元々は「稀(まれ)」文字を使って「稀代」としていましたが、常用漢字ではないため「希」で代用しています。「稀」はめったにないことや珍しいことを表します。「代」は時代の「代」で、世の中のことです。

読み方は「きたい」と「きだい」の2種類あります。「きだい」は呉音という昔からある読み方で、仏教語に多く見られます。一方「きたい」は漢音という平安時代の読み方です。

絶世

「絶世」は世に並ぶものがないほど優れていることを表します。「絶世の美女」という表現でお馴染みでしょう。

「絶世」の由来は「世間とはかけ離れた存在」です。「絶」の成り立ちは刃物で糸を断ち切ること。そこから、断ち切られたように遠くかけ離れているという意味でも使われています。「世」はそのまま世の中や世間一般です。

なお、「絶世」には他にも子孫が絶える、世を捨てるという意味もあるようです。こちらはそのまま世間との関わりを絶つということですね。


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