「軽佻浮薄」とは?意味や使い方をご紹介

「軽佻浮薄(けいちょうふはく)」とは、考えや言動が軽はずみで浮ついていることや、その様子を表している言葉です。新聞や雑誌などで見たことがある方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな「軽佻浮薄」の意味や使い方を詳しくご紹介しています。

目次

  1. 「軽佻浮薄」の意味
  2. 「軽佻」と「浮薄」の由来
  3. 「軽佻浮薄」の使い方
  4. 「軽佻浮薄」の類義語
  5. 「軽佻浮薄」のまとめ

「軽佻浮薄」の意味

「軽佻浮薄(けいちょうふはく)」とは、考えや言動が軽はずみで浮ついていることや、その様子を表している言葉です。「佻」は「窕」と書くこともあります。

「軽佻」とは、落ち着きがなく、言動が軽はずみで軽薄であるさまを示しており、「浮薄」は自分の信念がないので他から影響を受けやすく、言動があさはかなさまを意味しています。

この同じような意味の「軽佻」と「浮薄」という言葉が合わさって、「軽佻浮薄」という四字熟語が生まれました。

「軽佻」と「浮薄」の由来

「軽佻浮薄」とは、「軽佻」と「浮薄」が一つになって生まれた言葉であるということは、先ほどご説明した通りです。よって、ここでは「軽佻」と「浮薄」それぞれの由来を見ていきましょう。

「軽佻」の由来

「軽佻」の由来は、『尉繚子(うつりょうし)』と呼ばれている中国の兵法書の次の一文です。
 

民、相軽佻すれば、すなわち欲心興り、争奪の患起こらん。

人々がお互いに軽はずみな行動をすれば、欲の心が起こり、争奪する禍が起こるだろう。

これは、『尉繚子』の中でも『治本篇』という、政治で大切なことは衣食を充実させることであると書かれた文章の一部です。

「浮薄」の由来

「浮薄」の由来は、中国の歴史書『後漢書(ごかんじょ)』の『馬援伝(ばえんでん)』に記された下記の文にあります。
 

季良は名を保、京兆の人なり。 
時に越騎司馬と為る。 
保が仇人、上書して保を訟ふ。 
行を為すに浮薄、群を乱し衆を惑はす。

杜季良は名を保といい、京兆の人で、越騎司馬(役職の名称)であった。 
ある時、杜季良と敵対する人物が上書して杜季良を訴えた。 
杜季良の行いは浅はかで、群がって世を乱し、民衆を惑わしております。 

これは、なぜ杜季良を見習ってはいけないのか説明している文章の一部です。杜季良と敵対している者が、杜季良の行いは考えなしで浅はかだと訴えています。

「軽佻浮薄」の使い方

「軽佻浮薄」は、「軽佻浮薄な連中」「軽佻浮薄な行動」などの使い方をし、言動が軽はずみで浅はかな人や様子を表しています。「浮薄」という言葉に自分の意志がなく流されやすいという意味があるので、「軽佻浮薄」はただ単に軽はずみというだけでなく、自分自身の考えが足りていないということや、周りの雰囲気や流行に流されているというニュアンスを含みます。

「軽佻浮薄」の例文

  • 娘の恋人からは、どんなに高級なスーツに身を包んでも隠し切れない「軽佻浮薄」な雰囲気が漂っている。
  • もう三浪目なんだから、「軽佻浮薄」な行動はつつしんでしっかり勉強に励んでほしい。
  • 流行のパーマをかけて少し髪の色を明るくしたら、祖母から「軽佻浮薄」ではしたないと長時間の説教をくらってしまった。

「軽佻浮薄」の引用

“その二は軽佻浮薄也。軽佻浮薄とは功利の外に美なるものを愛するを言ふ。”
『大導寺信輔の半生 或精神的風景画』芥川龍之介
 
“「ファルス」は、たとえ「笑劇」と訳すにしても、浅はかな笑いを誘う、軽佻浮薄な演劇を指すとは限らぬのである。”
『演劇の様式 総論』岸田國士

※青空文庫出典

「軽佻浮薄」の類義語

「軽佻浮薄」と同じような意味を持つ言葉をご紹介します。
 

  • 軽佻浮華(けいちょうふか)
    意味:思慮が浅く、うわべだけで実質がないさま。
  • 軽率短慮(けいそつたんりょ)
    意味:結果を考えずに、軽々しく行動したり物事を判断したりすること。
  • 鼻先思案(はなさきしあん)
    意味:目先のことだけにとらわれた軽率な考えのこと。単なる思い付き。

「軽佻浮薄」のまとめ

「軽佻浮薄」という言葉の響きからは堅苦しいイメージを受けますが、実際は真逆の言動や考えがとても軽率なことを表している「軽佻浮薄」。普段の会話では使うことはあまりないと思いますが、新聞や雑誌などの論評や解説などでは度々目にする言葉です。

この機会に、「軽佻浮薄」の意味や使い方の理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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