「皆無」とは？意味や使い方をご紹介

「皆無」とは「かいむ」と読みます。「皆」は「みんな、全部、残らず、すべて」という意味を持っており、音読みで「かい」と読んでいます。そして、「無」は「ないこと、存在しないこと」という意味を持ち、音読みで「む」と読んでいます。

つまり、この二つの言葉が並んで、「皆無」という熟語は、次の意味となります。
 

• 「少しも存在しない」
• 「まったくない」

「皆無」という言葉は、基本的に名詞、形容動詞、副詞として使うことができます。そして、文章のニュアンスがポジティブ、ネガティブどちらであっても使うことができます。しかし、「まったくない」という否定的な言葉なので、ネガティブな表現が多いようです。

使い方としては「ない」と一緒です。ただし以下の様に、「復旧の見込みはない」というよりも、「復旧の見込みは皆無だ」という表現の方が「まったくない」という強調された表現となります。
 

• 復旧の見込みは「皆無」だ
• 彼の語彙力は「皆無」に等しい

文尾に打ち消しの表現を伴う事で、副詞として使う事ができます。この場合の「皆無」は「まったく」と考えて良いでしょう。

 

• 皆無、生存者はいなかった
• 彼の消息は皆無わからない

明治時代の文豪たちの著書にも、「皆無」という言葉が使われています。昔から使われており、多くの人が目にする言葉です。
 

「絶無」も「まったくない」という名詞で、皆無とほぼ同じ意味です。しかし、「後にも先にも少しも見られない」というニュアンスがあり、「皆無」より、強調した言い方になります。この点で、「皆無」と使い分けることができます。
 

• 掟を破る者は絶無である
• 助かった例は絶無である

「虚無」は「絶無」ほどの類似語ではありませんが、同じように「何物もない」という意味があります。「虚無」には「価値があると認められるものが何もなく、むなしい」というニュアンスがあります。なので、人間の感情的な文脈やネガティブな文脈で使われる特徴があります。
 

• 虚無感に襲われる

国語辞典上、完全な対義語はありません。強いて言えば、反対の意味という点で、「みちあふれる」という意味の「充溢（じゅういつ）」や「あふれるほど盛んである」という意味の「横溢（おういつ）」が挙げられます。
 

• 気力が充溢している
• 横溢する気力

今や日本で知らない人はいない程、世界で有名になったロックバンド「ONE OK ROCK」ですが、彼らの曲でも『皆無』というタイトルの曲があります。2018年11月12日に発売されたアルバムに収録されています。一部ですが、歌詞を紹介します。
 

橘皆無さんは1988年、株式会社ムービックにおいて、32ページの短編『幻よりうつつな…』でデビューした漫画家です。翌年には学研プラスが発行する日本の月刊アニメ誌である『アニメディア』にて『サムライトルーパー』のパロディ作品を残し、以降、少女漫画、アニメ雑誌を中心に活躍しています。

橘皆無イラスト集のタイトルを「皆無」を意味する英語『Nothing』と付けるなど、「皆無」という言葉に非常に愛着を持った方であると考えられます。

「皆無」という言葉は一見すると難しそうに感じますが、一語ずつ意味を考えると、非常にわかりやすい言葉です。また、身近で使われているものを通せば、より理解しやすくなり、見え方も変わってくるのではないでしょうか。