「先入観」」とは?
「先入観」(せんにゅうかん)は、時に「先入感」と表記されることがありますが、それは誤りです。観念に関する言葉であり、感覚に類するものではないからです。
「先入観」は、ある対象に対して、実際にかかわりを体験するまえに抱いている固定的、主観的な価値判断や観念を指す言葉です。それによって客観的な判断や自由な思考が妨げられる場合に用いられます。
どんな人でもすべての物事や事象を体験することはできません。それを補うのは身の回りにあふれる噂話やニュース、ネット情報などです。これらは有益な知識として蓄えられる一方で、ある対象への見方や判断、評価から客観性を失わせる原因になることもあります。
会ったことのないAさんに対して、噂話などの情報から「素晴らしい人だ」と思ったとしても、「嫌な人だ」と思ったとしても、それが実際にAさんと会ったときに客観的な評価を妨げる場合は「先入観」と称します。「先入観」に、内容の良し悪しには関係ありません。
「先入観」の使い方
「先入観」は、しばしば、先入観にとらわれる、先入観を持つなどの言い回しで用いられます。これらは「色眼鏡で見る」「バイアスが掛かる」などと同じく、自身で体験した事実に基づかない思い込みがあることを指す言葉です。
【例文】
- 彼女の外見や雰囲気からとてもアクティブな女性という先入観をもっていたが、つきあってみると大人しい人だった。
- 瞑想は怪しげなものという先入観にとらわれていたが、正しく教えてもらうと、心の安定のためのよい手段だとわかった。
- サハラ砂漠はつねにきわめて気温が高いという先入観があったが、冬には降雪さえあると知り驚いた。
「先入観」の英語表現
「先入観」を一言で表す英語には、'preconception'(思い込み・先入観)や'prejudice'(先入観・偏見・先入観や偏見を与える)などがあります。
このほかにも、次のように「先入観」を英語で表現することができます。
preconceived idea
'preconceived'は「わずかな情報などをもとにあらかじめ考えた」という意味の形容詞です。接頭辞'pre-'(前に)と動詞'conceive'(あるものに対する感情や考えを心に抱く・想像する)から構成されています。
この単語とイメージや考えを指す言葉を組み合わせて、'preconceived idea'や'preconceived image'、'preconceived opinion'のようにすると「先入観」を表すことが出来ます。
【例文】
- We had a preconcieved idea that he was incompetent, but that was a mistake.(私たちには彼は無能だという先入観があったが、それは間違いだった)
- We sometimes have a preconceived image of other ethnic group.(私たちは、しばしば他民族に対して先入観をもつ)
- He is obsessed with preconcieved opinion against religion.(彼は宗教に対する先入観にとらわれている)
また、「先入観」を一言で表す英語には、'preconception'(思い込み・先入観)や'prejudice'(先入観・偏見・先入観や偏見を与える)などがあります。後者は前者よりもネガティブな表現のようです。
biased
先入観や偏見、または、先入観を持たせるなどの意味を持つ'bias'や、その形容詞形の'biased'を使って「(~についての)先入観にとらわれる・先入観を持つ」と表現することができます。'bias'は「バイアス」というカタカナ語としても馴染みのある言葉でしょう。
【例文】
- Many people have religious bias.(多くの人は宗教的な先入観をもっている)
- My boss is biased against female employees.(私の上司は女性社員に対する先入観にとらわれている)