「如何」の意味
「如何」には、いか・いかん・いかが・どうという読み方があります。漢字表記は「如何」が一般的ですが、「奈何」と表記する場合もあります。「如何」には三つの品詞があり、品詞ごとの意味は以下の通りです。
【名詞として】
物事の成り行きや様子。事情。理由。
【副詞として】
- (主に文末について)物事の様子や状態などを尋ねたり、疑問に感じたりする様子を、どうですか・どのようにしましょうか・どんなものでしょうかといった気持ちを表す。
- 人を誘ったり、人に勧めたりするときに、どうですか・どうしますかといった気持ちを表す。
【形容動詞として】
物事の成り行きに不安や疑問を感じたりするときに、どうでしょうか・どんなものでしょうかといった相手の気持ちを確認しようとする気持ちを表す。
なお、ここでは形容動詞として紹介していますが、辞書によっては副詞として説明しているものもあります。
「如何」の使い方
「如何」には、上記のような読み方と品詞の違いがありますので、品詞ごとに使い方をご紹介します。
「名詞として」
- 理由の如何(いかん)に関わらず、3回以上講義を欠席した学生には単位を与えないA教授は、厳しすぎると批判がある。
- このプロジェクトが成功するかどうかは、資金調達如何(いかん)にかかっています。
「副詞として」
「如何」の使い方として最も多いのが副詞としての用法で、相手の様子や意向を尋ねたり、勧誘する時など、実にいろいろな場面で使われています。副詞で使う時には読み方もいろいろです。
【例文】
- 体調が悪いと聞きましたが、お加減は如何(いかが)ですか。
- 来週の金曜日に飲み会をしようと思いますが、ご都合は如何(いかが)でしょうか。
- 私が如何(いか)に熱弁を振るっても、道理のわからない人には通じない。
- 如何(どう)?来週末ゴルフに行かないかい。
- この店は、結構いい銘柄の日本酒を揃えている。一杯如何(どう・いかが)?
「形容動詞として」
物事の計画やものの考え方などに疑問があるような場合に「それは如何なものでしょう」といような表現で、疑問や不安を伝える時に使います。
【例文】
「如何」を使う慣用句など
「如何ともし難い」
「如何ともし難い(いかんともしがたい)」は、どうしようもない、どうすることもできないということを表す慣用句です。力を尽くしたがこれ以上の手段・方法がない、不可抗力で手の打ちようがないといった時に使います。
【例文】
- 今の医学の力ではこの病気は如何(いかん)ともし難いのです。
- まだまだ現役で頑張る気持ちは十分あるが、年齢による体力の衰えは如何ともし難い。
「如何せん」
「如何せん」は、残念だがとか、どうしようもなく困ったということです。「いかにせむ(副詞「いかに」+サ変動詞「す」の未然形+推量の助動詞「む」の形で)」という古語が変化したもので、あきらめに近いニュアンスがあります。
【例文】
「如何ばかり」
「如何ばかり」は、「如何許り」とも書きます。「許り」は、程度を表す副詞で、「如何」とつながって一つの副詞となり、程度を計ることができない物事を表す動詞を修飾して、いったいどれほどのとかどんなにか計り知れないという意味を表します。
【例文】
「如何様」
「如何様(いかさま)」と聞いてすぐに思い浮かぶのは、名詞としてのインチキ、詐欺といった意味ではないでしょうか。
しかし、副詞としては、間違いない、本当に、なるほどという物事の判断や推測に対して確信したり、強調したりする意味も持っています。ただ、現代では副詞の意味ではあまり使われることがありません。
また、「如何様(いかよう)」と読むときは、どんなよう、どのようといった意味の形容動詞として使うことができます。こちらは、今でも、店で商品を探しているときなどに、店員から「如何様な商品をお探しでしょうか」と尋ねられることがあります。
【例文】
- 如何様(いかさま)、この足跡は熊のものに間違いない。すぐに周辺住民に対して警告しよう。
- この家の仕様は如何様(いかよう)にも変更することができます。