以前
日常でも馴染み深く、頻繁に耳にする「以前」という言葉。実際に使う機会も多いので、しっかりと意味を理解しておきたいですよね。ここではそんな「以前」の意味や使い方、類義語などを詳しく紹介していきます。
以前の意味
「以」という漢字
まずは、「以前」を構成する漢字「以」についてご説明します。「以」は訓読みで「も(って)」「もち(いる)」、音読みで「イ」と読み、「範囲や方向などの基点から、それより」「(・・・を)用いて」などの意味があります。
より具体的には、「以」は「用いる」や「率いる」、理由を表す「ゆえ」など多くの意味を含んでいる漢字です。「以」を使った言葉も多く存在し、「以心伝心」や「以上」「以降」などがあります。
また、「イスラエル」を表す漢字としても使われており、「以色列」と書いて「イスラエル」と読ませます。
「前」という漢字
次に、「以前」の「前」についてご説明します。小学2年生で習う漢字であり、日頃の生活に欠かせない漢字でもありますよね。「前」は訓読みで「まえ」、音読みで「ゼン」と読みます。「人間の顔(目)が向いている方向」「物の正面」「ある時点より早い時」「二つあるうちの早いほう」「中ほどより早い時期」など、多数の意味を表す漢字です。
「前」を用いた熟語や言葉は非常に多く、日常で見かけない日はない漢字ではないかと思います。
以前の意味
そんな「以」と「前」を組み合わせた「以前」という言葉には、「基点とする時や場所を含んで、それよりも前」「現在より前。むかし」「それより前の段階。基準となる段階(レベル)に達していないこと」といった意味があります。
上記の通り、多くの場合「以前」は「基点を含んでいる」ので、例えば「9日以前」というときには「9日」も含めてそれより前ということになります。
ただし、「ルネサンス期以前」や「明治以前」などのように、具体的な数値を伴わないケースでは、「基点を含めずに、それより前」を示す場合もあるので注意しましょう。
以前の例文
ここからは「以前」の使い方を紹介していきたいと思います。
- 12時以前には到着する予定です。
12時を含めてそれより前という意味です。
- この建物は昭和以前に建てられたものだ。
こちらの例では基点が「昭和」で、具体的な数値を伴わないので、建物は「昭和を含まない、それよりも前」に建てられたということになります。
- 以前よりお会いしたいと思っていました。
「現在より前。むかし」からという意味で「以前」が使われています。
- 現状は、大会に出る以前の問題だ。
以前の類義語
「以前」の類義語はいろいろあります。「かねて」や「かねがね」は、どちらも「以前から」と同じ意味を持っています。「前々」もほぼ同様ですが、こちらは「同じような事態が繰り返されてきた」ことを示すニュアンスも含んでいます。
また、「かつて」は「昔、あるとき」という意味で「以前」と同義です。
以前のまとめ
いかがでしたか?熟語「以前」について紹介しました。「以前」は基準となる数値が具体的である場合には基点を含み、数値が具体的に示されていない場合には基点を含まないケースもあることを覚えておくと、コミュニケーションの中で混乱することが少ないのではないかと思います。